エピローグ 輪廻


数年後。

ミサキは、娘のミユウとベビーカーに乗った孫と一緒に公園を歩いていた。
春の風の中、小さな猫が一匹、道端に座っている。
白と茶と黒の毛並み。
その琥珀色の瞳は、不思議なほど懐かしい。

「ママ、この子……なんか、リンネに似てる!」

ミサキはそっとしゃがみこみ、
小さな体を抱き上げた。

「……お帰り、また会えたね」

猫は小さく鳴いた。
チリン――。

首元で、どこからともなく、鈴の音が響いた。




> 「ありがとう」と「おかえり」。
その言葉が、輪のように巡っていく。

リンネは今日も、春の風の中で笑っている。