翌日。
皇帝【グアン・ディオ・ノーゼ】からの命令により、皇帝の近衞騎士である【アリゼ・バトナー】を中心に少人数で第一皇子のロディスが昨日の夜、言っていた聖女であるかもしれない。と言っていた人物の捜索を開始した。
「ロディス皇子殿下が言っていた大まかな聖女の特徴は白髪に青い瞳で背が高いとのことだったのですが、今の所、そのような特徴を持った人物を見た者の目撃情報はありませんでした」
「そうか、ご苦労。引き続き聞き込みを続けてくれ」
「承知致しました」
騎士はアリゼにそう言い背を向けて、再び聞き込みをする為に帝都の人ごみの中に消えていく。
アリゼは騎士の後ろ姿を見送ってから、自分も聞き込みをする為に帝都の道を歩き出した。
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アリゼ達が聖女の居所の情報を掴んだのはその日の夕方頃であった。
「この宿屋に入って行く所を見た者がいるらしいのですが。どうしますか?」
「行くぞ」
「承知致しました」
宿屋の前で会話をし終えたアリゼ達は聖女がいる宿屋の中へと足を踏み入れた。
宿屋に入ると、宿屋の受け付けの者はアリゼ達を見て少し驚いた顔をして見つめてくる。
「皇帝陛下の騎士アリゼ・バトナーという。皇帝であるグアン陛下の命令により、今、白髪で青い瞳の聖女を探しているのだが、この宿屋に聖女の特徴を持った人物が入る所を見かけたという目撃情報があるのだが、この宿屋に白髪で青い瞳を持つ人物は泊まっていないだろうか?」
アリゼは宿屋の受付人である中年の男にそう問うと、受付人の男はこくりと頷いてから「泊まっておりますよ」と返答した。
「そうか、どの部屋に泊まっている?」
「階段を上がって二階の左側の部屋の通路の一番奥の部屋です」
「そうか、教えて頂き感謝する」
アリゼは受付人の男にお礼を述べて軽く会釈をしてから、騎士達を引き連れて聖女がいるであろう二階の左側の通路の一番、奥の部屋へと向かう為、歩き出す。
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「カトレアさん、もういつでも出れますよ!」
「私も出る準備できたから、行きましょうか」
「はい!」
私達は自身の荷物を持ち、宿屋の部屋を出ようとしたその時、部屋のドアがコンコンコンと3回ほどノックされた。
「誰かしら?」
私がそう言えば、シエナは私の顔を見て首を傾げてくる。
私は部屋のドアのドアノブに手をかけて、開けるとそこには数人の騎士達がいた。
「聖女様で間違いありませんか?」
「え、何で私が聖女って知って……」
「いきなりで申し訳ありせんが、皇帝陛下の命令なので。ご同行願います」
「皇帝陛下の命令……? 何か訳ありのようですわね、わかりました」
私は目の前にいる数人の騎士達を見据えて、頷き、騎士達に連れられて宿屋の部屋を後にした。


