このヴァルローゼ国で、今尚、語り継がれている一人の姫と青年のお話。
 青年は王女が生涯を終えるその時まで、彼女の騎士であり続けた。
 そして、王女も、他国へと嫁ぐこともなく、ヴァルローゼ国の王女であり続けたのである。

 身分差があった為、思い合っていても、結ばれることはなかったが、王女と青年は互いに側に居られるだけで、幸せであった。

「シェラ、どうか安らかに。俺も、もう少ししたらそっちに行くよ」

 オレンジ色の髪をした老いた(オレンジ)は、白い箱の中に入れられたシェラの遺骨を見つめながらそう呟いた。