自室のカーテンから差し込む穏やかな日の光で私は重たい瞼を開けて、白いふかふかのベットから身体を起こした。

「今日は誕生日ね」

 私は独り言のようにそう呟き、ネグリジェから緑色のワンピースに着替え始める。
その後、一通りの身支度を済ませた私はリビングへと向かう為、自室を後にした。



 私がリビングへと入るなり、両親のカルラとアルフ。兄のクリス、側近のランドルに侍女のエリザ。ラディに迎えられる。

「イレーネ、18歳のお誕生日おめでとう!」
「ありがとう、ラディ」
「うん、イレーネ、これ誕生日プレゼント。受け取ってくれる?」
「ええ、あれ、この紙袋って……」

 ラディから手渡された紙袋は先週、ラディがランドルと共に王都に行って帰ってきた時に手に持っていた紙袋と同じであった。

 紙袋が同じであることに気付いた私を見てラディは柔らかい笑みを浮かべながら説明する。

「実はランドルと王都に行った日。ランドルと一緒にイレーネの誕生日プレゼントを選んでいたんだ」
「イレーネ様、中を開けてみてください」

 ラディとランドルにそう言われ、私は頷き、紙袋の中に入っているそれほど大きくない四角い黒色の箱を取り出し、箱に付いた白いリボンを解いて箱を開ける。

「これは……!?」
「イレーネ様、良くこのお店の髪飾りを買っておられるので。ラディ様と二人で選びました」
「気に入ってくれたかな……?」
「綺麗な青色の蝶のバレッタ。これ、結構前から私が欲しかった物よ! 結構前にこのバレッタ目当てでお店に行った時、売り切れてしまっていて買えなかったのよ……」

 イレーネは青色の蝶のバレッタを大切そうに両手に持ちながら嬉しそうにラディとランドルを見る。

「ありがとう…… ! ラディ、ランドル。大切にするわ」
「喜んで貰えて何よりです」
「そうだね、よかった」

 そんなラディ、ランドル、イレーネの3人の会話が一区切りついた所で兄のクリスが口を開く。

「よし、じゃあ、朝食にしようか」
「そうね、エリザ、お皿の準備してお願い」
「はい、わかりました」

 私の侍女エリザはカルラからの頼みに頷き、お皿を出す為、食器棚へと足を運んで行った。

 イレーネは両親のカルラ、アルフ。兄のクリス。側近のランドルに侍女のエルザの姿を見つめてからぽつりと独り言のように呟く。

「ありがとう、皆んな」

 こうして私の18歳を迎えた1日が始まったのであった。