幼い私の昔話です。

この国の女王になるには私は魔力が足りない。

だからいつだって、魔力があって賢いルーチェは特別待遇だ。

なにもかも、私にはない。

だけどたった一つだけ光はあった。

それは・・・・





「君が隠居姫?」

ルーチェの誕生日祝いの日に、お母さまに叱られそうで逃げていた日。

突然話しかけられた。

「い、ん・・・・?」

「あ、ごめんこっちの話だよ。それより・・・・君も誕生日ではないのか?」

そう、それがエレン様だ。

初めて“私自身”を見つけてくれた人。

そんなエレン様は、私よりも身分は上の方で、それなのに私にかまってくれる人。

最初はおかしいと感じていたけど、

次第に惹かれていくものがあった。



家族には内緒で逢瀬を重ねて、そしてついにこんな私を婚約者にしてくれた。

そんな私の味方のエレン様。

それなのに・・・・











「見損なった」

「え?」