「ちょっとフィン!!どうしてこの食器が欠けているの!?これじゃルーチェが怪我するじゃない!!」

そう叫ばれることは多々あった。

だけどこの母親はいつだってそう。

私よりも双子の姉のルーチェばっかり大事にしている。

「ごめんなさい・・・・・」

「本当に気遣いが出来ない娘だこと。同じ父親の血が流れているとは思えないわ」

「・・・・はい・・ごめんなさい」

「っとに・・・役立たずね」

“役立たず”

魔力も何もない私にはお似合いの名称だわ。

でもこんな私でも、いいと仰って下さる婚約者のエレン様がいる。

そうやって言っていないと崩れそうだから自分に言い聞かせる。

「今日はルーチェの誕生日よ。エレン様も来て下さるらしいから気を点けなさい」

「・・・・・」

「返事は?」

「!はい・・・・」

「はぁ。こんなモノと話す時間がもったいないわ」

そうぶつぶつ言いながらいなくなっていくお母さま。

私なんか・・・私なんかは・・・・・

この世からいなくなればいいのに。