私がソルヴィーヌ国の港近くにあるロディアの街に来てから2週間が経ち。
私は集めた人々の感情から生まれる光で、ラクスの母親であるユアーネの病を治す薬を作っていた。
「よし、良い感じに出来てきたわね。明日辺りに完成しそうだわ」
私は4日前、ユアーネの病を治す薬を作る為に酒場の2階の一室に篭り始めた。
魔法で薬を作ったことはなかったが何とか完成の目処が見えてきたことに安堵する。
「あとひと頑張りよ、ニーナ」
自分な対しての喝を入れて、私はまた作業を再開し始めた。
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翌日の朝。私は薬が完成したことを伝える為にユアーネがいる部屋へと訪れた。
「ユアーネさん、薬が完成しました。こちらをどうぞ」
私は手に持っていた瓶に入った液体薬をユアーネに差し出す。
「ありがとうございます。これはこのまま飲めばいいんですか?」
「そのままだと苦いかもしれませんので、少し水に薄めてから飲むといいかもしれないです」
私がそう説明し終えるのと同時に、部屋ドアが開き、ラクスが部屋に入ってきた。
「ニーナ、水持ってきたよ!」
「ありがとう、じゃあ、渡してくれるかしら」
「うん、お母さん、水だよ」
ラクスはユアーネにガラスのカップに入った水を手渡す。
ラクスからカップを受け取ったユアーネは瓶の中に入ってる液体を口に入れてから水を飲み。
私とラクスはそんなユアーネをじっと見つめた。
「飲み終わりましたか?」
私がユアーネに問い掛けるとユアーネは頷き返す。
「ええ、飲み終わったわ」
「どうですか?」
「身体が軽くなっていく感じがするわ……!」
「よかったです。少ししたらきっと動けるようになりますよ」
私の言葉通り、薬を飲んでから数十分後、ユアーネは立ち上がり歩けるまで回復した。
「お母さん、もう大丈夫なの?」
「ええ、ラクス、もう身体が何処も痛くないの。治ったのかしら……?」
「もう大丈夫です。この薬は病を消し去る薬ですので、また病に侵されることはありません」
私の言葉にラクスは目に涙を浮かべながら口を開く。
「ありがとう、ニーナ。お母さんの病を治してくれて……!」
「ニーナさん、本当にありがとうございます。感謝してもしきれません」
「ええ、治せて本当に良かったです」
私はユアーネとラクス。
窓の近くにあるソファーの上で寝ているラクスの妹の姿を見つめて優しい笑みを溢した。


