受けだと思っていた推しは、溺愛症候群でした(?)

 腐は、BLは、世界を救うのである。だって俺も救われた人のひとりだから。
 推しには、人生を変える大きな力がある。その言葉が俺にとって、まるで希望を与える奇跡なんだと思った。
 俺は誰がなにを言おうとも、推しカプに人生を捧げると誓った。もう迷わない。間違えない。勘違いするだけ虚しくなる。
 ひとつ昔の俺は、自分自身は絶対に恋愛はしない。しないというか、できないのだから。まぁ見てみたい気はするけれどね。なんて能天気な頭で、ずぅっと推し活して生きていくんだと信じていた。
 あんな出会いがなければ、絶対にあるはずなかったことなのに。一生推しとして愛せてたのに。
「もう、限界なんだよ……」
 知らないよ、そんなの。もう頭の中ぐちゃぐちゃで。わからないんだ。推しとか、恋とか。勘違いさせないで。
 あんなこと言ったのに、偉そうだな、俺。自分から頼んだくせに。追おうとしたくせに。なんでこんなことになっちゃったんだろう。
 なんでただのオタクの俺に、こんなに良くしてくれるんだろう。恋なんて、一生無縁だと思ってたのに。
 ずるいな。
「俺は……」
 そう思うことで精いっぱいで、完全な愛なんてもの、本当は知らない。