音のした所を見ると、すぐ近くというよりも、もう少し離れた場所からのようだ。
数歩歩くと、路地があり、猫がニャーニャーと鳴いている。
その声を辿っていくと、そこにはひとりの男の子がいた。
「どうしたの?」
「………っ……ううう」
男の子はうなされていて、俯いていた。
泣いているのか喚いているのか―――
顔が見えず、表情は分からない。
「まぁ、聞いたって答えられないか。これ、置いていくから。食べて、寝て、休んでね」
さやかは鞄にたまたまあった先ほど買った豆腐バーとチョコ一袋、それにペットボトルの水を男の子の傍に置き、その場を後にした。
――数日後
さやかの元に誰かから電話がかかってきた。
「はい」
「あの…さやかさんのお電話で、間違いないでしょうか」
小さな声でボソボソと呟くように話す声。
聞き取りづらくて、さやかは聞き返した。
「すいません。聞こえづらくて、もう一度お願いします」
「えーと。この前、助けてくださった方ですよね」
「え? 助ける?」
「覚えてませんか? 下を向いていた僕にチョコと豆腐バーと水を置いていきましたよね。数日前のことです」
さやかは記憶を辿る。
――そうだ、あの路地裏で会った子だ。
「ああ、はい。でも、どうして私の電話番号が?」



