四人法


 音のした所を見ると、すぐ近くというよりも、もう少し離れた場所からのようだ。

 数歩歩くと、路地があり、猫がニャーニャーと鳴いている。

 その声を辿っていくと、そこにはひとりの男の子がいた。

「どうしたの?」

「………っ……ううう」

 男の子はうなされていて、俯いていた。

 泣いているのか喚いているのか―――

 顔が見えず、表情は分からない。

「まぁ、聞いたって答えられないか。これ、置いていくから。食べて、寝て、休んでね」

 さやかは鞄にたまたまあった先ほど買った豆腐バーとチョコ一袋、それにペットボトルの水を男の子の傍に置き、その場を後にした。

――数日後

 さやかの元に誰かから電話がかかってきた。

「はい」

「あの…さやかさんのお電話で、間違いないでしょうか」

 小さな声でボソボソと呟くように話す声。

 聞き取りづらくて、さやかは聞き返した。

「すいません。聞こえづらくて、もう一度お願いします」

「えーと。この前、助けてくださった方ですよね」

「え? 助ける?」

「覚えてませんか? 下を向いていた僕にチョコと豆腐バーと水を置いていきましたよね。数日前のことです」

 さやかは記憶を辿る。

――そうだ、あの路地裏で会った子だ。

「ああ、はい。でも、どうして私の電話番号が?」