四人法

 
 空気に少しだけ緊張が走った。

「俺、この頃思ってたことがあるんだ」

 暖はそう切り出し、ソファーに座っているさやかの方を見た。

 「それを言う前に……さやかさん。最近、少し変だったよね。何か思ってることあるんじゃない?」

 暖の言葉に、さやかは少し驚いた顔をして、苦笑いを浮かべた。

「……バレてたか。そう、あるよ。このまま生活続けないといけないのかなって。今は気になる人がいないけど、今後できるかもしれない。そうなったら私、どうしたらいいんだろうってずっと考えてた。……もしかして、暖も?」

 さやかは目を細めて、静かに問いかけるように言った。

「…うん、俺も悩んでた。でも、今日、彼氏になった人と話して――分かった」

「え? 彼氏って、前に付き合ってた人?」

 潤子が思わず聞き返す。

「……いや、もう別れた。今日新しい彼氏ができた」

「……えっ、そうなんだ」

 潤子は驚きつつも、微笑んだ。

 拓はあまりに話の展開が速すぎて、目を瞬きさせていた。

「その話はあとでちゃんと話す。でも、それより―――今日、分かったんだ。俺、自分が自分でいられるのは、この四人がいたからなんだって。だから、四人法を作りたいと思ってる」

 暖はリビングの中央に立ち、まっすぐに三人を見つめながら言った。

「四人法……って、なに?」

 潤子は椅子に置いていた本をそっと閉じ、暖の言葉に耳を傾ける。