友達になった時からだった。
はじめて声をかけられた時の笑顔。
いつも笑って過ごしているのだろう――そう思わせるその笑顔。
口元にできたえくぼが、眩しいくらいに輝いて見えた。
「……そうかもしれないな」
暖は手鏡に映る自分の顔をじっと見つめた。
浮かない表情。
心の中が、そのまま顔に出ている。
本当はこの生活のことを誰にも話せていない。
だけど――芳樹には言おうと思っている。
認めてほしい。
自分の選んだこの生き方を、否定しないでほしい。
今の友人というポジションのままでいたい気持ちと恋人になりたい気持ちが胸の中でせめぎあう。
あの四人との生活について――おかしいかもしれないけど、それでも言いたい。
この思いだけは、消したくない。
友達になったのは高校一年生の時。
それからずっと、ずっと、胸に抱えてきた。
今、想いを伝えなかったら――いつ言うの
か。
怖い。
友人でいられなくなるかもしれない。
でも、この気持ちはもう我慢できなかった。
ずっと、ずっと押し殺してきたけど、もう限界だった。
「芳樹、今日の放課後……話せる?」
「え? あ、うん。いいけど……どうしたの?」
芳樹は少し不思議そうな顔をしながらも、笑って聞いてくる。
「ここじゃ言えないから。放課後、屋上で話そう」
暖は手鏡を返し、人差し指を唇に当てて、口止めの合図をした。



