四人法

                        *

みんなで食べたいものを食べ終わった翌日、親友に会う約束をしていた。

「いらっしゃいませ~」

 威勢のいい声が店内に響き渡った。

「あ、いた」

 待ち合わせよりもやはり、10分早く着いていた。

「おう」

 テーブル席に座って、片手にはジョッキを手にして吞んでいた。

「相変わらず、ペース早いな」

 拓は目の前に座り、メニュー表を手に取った。

「なぁ、元気だったか?」

 彼は高校時代からの友人であり、親友の一刀(かずと)。

「…元気に決まってんじゃん。久しぶりに会って、最初の一言がそれか」

 拓は苦笑いを浮かべながら、QRコードをスマホにかざして、一刀に目を向ける。

「……あの…アカウント見てるよ」

 一刀の一言で、拓はスマホを操作していた手を止めてから、一刀の目を見据える。

「なんで?」

 拓は驚いた。
 
 あのアカウントは、僕の日常用のアカウント。

 たわいのない、日常を呟いている。

 人の悪口や批判的な言葉は使わない。

 そう、心がけて、Xを使っている。

 だが、このアカウントは誰にも教えていない。

 なぜ、分かったんだろう。

「…驚いた? あのアカウント、すぐわかったよ。だって、拓の好きな空の形をしたキーホルダーだから」

 そっか……分かるひとには分かるのか。

 そうだよね、一刀は高校からだもんな。

 分かっちゃうか。

「うん、そうだね。誰にも教えてないから。あ、一刀、なんか頼むのある?」

 また、拓はスマホを操作した。

「あ、じゃあ、たこわさお願い」

 一刀はジョッキを手にして、手で一つとお願いした。

「はいはい~」

 拓はスマホで注文をして、「頼んだよ」と優しく言う。

「なに、頼んだの?」

「ビールと枝豆。…それで、僕を誘ったのはなんか言いたいことあるんだろ?」

 頬杖をついて、拓はポツリと呟く。

「さすが、勘いいね」

 一刀は拓を指さして、笑っていた。

「何年、一緒にいると思ってんだよ。いつものことだろう。今日は僕の話でしょ。一刀の話だと、甘えてくるからな」

 拓は目だけ、一刀に目をやり、指を差す。

「ハハハ、お前、さすがだな。本当、俺のこと好きだよね」

 大きい口を開けてから、手を叩いて笑い転げていた。

「はい、はい。好きですよ~。なに、僕に言いたいことって」

 拓は鞄を隣の座席に置いて、適当にあしらう。

「……拓、お前、なんか我慢してないか?」

 急に一刀は真剣な目で拓を見た。