四人法

 そう言いながらも、潤子は俯いたまま、ちらりと暖の方へ顔を向ける。

「……暖、それ、私のなんだから。今度は暖がドリップコーヒー買ってきてよ」

 潤子は握りこぶしを作りながら、苦笑いを浮かべた。

「あっ、うん。わかった」

 暖は返事をして、またスマホを弄り始めた。

「潤子、我慢したね」

「だね。相当押し殺したね」

 さやかと拓はキッチンの方で隣同士に立ち、互いに同意するように見守っていた。

「ふぅ……」

 天井を見上げながら、潤子は棚を開け、ため息をついたあと、深く息を吸いこむ。

「潤子さん…」

 さやかはそっと潤子の肩に手を置き、優しく名前を呼んだ。

 拓も反対側の肩にポンと手を置き、自分で淹れたコーヒーを一口飲んでいた。

「…拓さん、頑張ってね。二週間」

 潤子はもう一度ため息をついた後に、拓に向かって応援の言葉をかけた。

「…ありがとう、潤子」

 拓は感謝の気持ちを込めて、微笑んだ。

「頑張ってよ、拓さん」

 拓の肩をバシッと力強く叩いた。

「相変わらず、さやかちゃん叩く力強いなぁ。……いてて」

 拓は苦笑いをしながら、片手で揉んでいた。

「ごめんね、拓さん。頑張ってよ。ちゃんと待ってるから」

 さやかは優しく肩を叩き、微笑んだ。

「…これ。拓さん用」

 暖は自分の部屋に戻り、大きい袋を持ってきた。

「なにそれ」

 拓は突然差し出された大きな袋に目を丸くする。