それでも、拓や暖に対しては、なぜか初対面の時から普通に会話ができ、触れられても平気だった。
仕事では男性とは話すこともあるが、そこまで近い距離で話すことは少なく、しかも女性が多い職場なので、特に困ることはないという。
プライベートでは男性と会う機会も少なく、潤子は私たちと過ごす時間がほとんどだった。
さやかは潤子が抱えているものは理解していた。
もちろん、拓も暖も同じだった。
潤子がもし今つらいと感じているなら、その気持ちに寄り添いたい。助けたい。
「潤子さんは、あの頃より確実に変わったよ。私たちと出会う前、誰にも言えないで抱えて抱えて、無理に笑顔を作っていた。でも、今は違う。本当に笑えてるんじゃない? この三年間、潤子さんのことを見てきた、そうだよね?」
さやかは潤子の肩に手を置き、これまでの思いをを言葉にこめた。
「そうですよ、潤子さん」
その時、部屋のドアをそっと開き、暖が帰ってきた。
「……暖」
潤子は暖の名前を呼び、振り向く。
「俺、潤子さんに初めて会った時のこと、ちゃんと覚えてる。今の潤子さんは、あの時と違うよ。ちゃんと変わってる」
暖の言葉に潤子は、一筋の涙を流した。
そして、暖の顔を見ながら、潤子は穏やかに笑った。
「そうだよ、その笑顔だよ! 潤子」
拓も笑って、潤子の頭をなでる。
「潤子さんは潤子さん!」



