四人法

「まぁ、暖は素直な子だからね。毎回、恋愛うまくいかなくなると、僕に何時間も語り尽くして、最後には疲れて倒れてたよ」

 拓は懐かしそうに目を細め、穏やかな笑みを浮かべた。

「拓さんは、暖と塾の講師と生徒の関係だけど、最初から仲良かったんですか?」

 さやかは前から気になっていたことを尋ねる。

「ああ、いや。全然最初は話してくれなかったよ。でもね、ある日、塾の帰りに暖が他の生徒と話している所をたまたま見たんだ。それがちょうど、失恋したばかりのときでね……」

 アハハと苦笑いをしながら、当時を思い出している様子の拓。

「……ああ、拓さんって、変な現場に居合わせることが多いですよね」

 潤子は拓を見て、冷静に突っ込みをいれていた。

「そのときに、男が好きなんだって知ってね。暖は“バレた!”って顔してたんだよ」

「へぇ~」

 さやかは相槌を打ち、拓の続きを待った。

 暖はゲイだ。

 それを知っているのは、私たち四人だけだ。

「暖は誰にも、ゲイだってこと言ってなかったからさ。僕にバレた時は“世界が終わった”って思ったんじゃないかな」

「確かに。わかるなぁ。自分と違う価値観の人にバレた時って、どう言い訳しようって頭の中で考えちゃうもん、私」

 さやかは共感して、うんうんと頷いた。

「……そうなんだ」

 潤子はさやかの言葉に耳を傾けていた。