四人法

 暖はタメ口でその男性に話しかけていた。どうやら、二人は知り合いのようだ。

 仲がよさそうな様子にさやかは驚く。

「ああ……だから、心配だったんだよ。でも、俺が知っている人で安心してるよ」

 男性は安堵した様子で胸を撫でおろしていた。

「大丈夫って言ったじゃん」

 さやかの存在を気に留めず、暖と男性は笑顔を浮かべて話している様子を見て、通りかかる人たちは駅前の改札口で男性二人が話しているのを見る人は親子かあるいは親戚かなと思いながら、通り過ぎていく。

「…あの、話の途中で申し訳ないんですけど。二人は一体どういうご関係なんですか?」

 さやかは交互に暖と男性を見ながら、そう問いかけた。

「俺は塾講師している拓(たく)といいます。暖はその生徒なんです。心配だったので様子見にきたら……まさか、あなたと再会するとは思いませんでした」

 拓さんは暖の頭を軽く撫でながら、二人の関係を説明してくれた。

 さやかは「なるほど」と首を縦に振り、納得する。

「…はいはい……そこの二人だけで話しないでよ。じゃあ、三人でこのあと喫茶店で飲みに行こうよ」

 暖は拓さんの右腕に軽く手をかけると、さやかにまだ持っていた袋を再度差し出した。

 さやかは、「うん」と頷き、少し困ったようにしながらも袋を受け取った。

 そこから、三人は近くの喫茶店へと足を運び、話し込んだ。