◇
真夜中。玉蓮は、人の呻き声で目を覚ました。嵐の音に混じって聞こえる、苦しげな声。天幕の外では、いまだに激しい雨が打ち付け、雷鳴が遠くで轟いている。
その呻き声の元を探して寝台の上へ視線を向ければ、あの赫燕が苦しみに身を捩っていた。
(……お頭?)
玉蓮は静かに起き上がり、足音を立てぬように、滑るように寝台に近づいた。嵐の夜の闇が、彼の輪郭を曖昧にしているが、その苦しみの表情だけは、はっきりと見て取れた。
「……ち、ちち、うえ……城が……!」
汗で濡れた髪が額に張り付き、その表情は歪んでいる。深い皺が刻まれた眉間は固く寄せられ、苦痛の色に染まっている。苦しそうな吐息とともに目の前の男の目尻から水滴が流れ、大きな手が何かを求めるように、胸元で揺らめく紫水晶を握りしめた。
「……燃え…………そげつ……!」
彼の口から紡がれるその音が、玉蓮の耳朶を打ち、脳裏にこだまする。
(……ああ、これは)
気が付けば、玉蓮は寝台の傍らで、彼の汗濡れた額に手を伸ばしていた。ただ、この男の傷に、痛みに、触れてみたかった。自分のそれに触れるように。
真夜中。玉蓮は、人の呻き声で目を覚ました。嵐の音に混じって聞こえる、苦しげな声。天幕の外では、いまだに激しい雨が打ち付け、雷鳴が遠くで轟いている。
その呻き声の元を探して寝台の上へ視線を向ければ、あの赫燕が苦しみに身を捩っていた。
(……お頭?)
玉蓮は静かに起き上がり、足音を立てぬように、滑るように寝台に近づいた。嵐の夜の闇が、彼の輪郭を曖昧にしているが、その苦しみの表情だけは、はっきりと見て取れた。
「……ち、ちち、うえ……城が……!」
汗で濡れた髪が額に張り付き、その表情は歪んでいる。深い皺が刻まれた眉間は固く寄せられ、苦痛の色に染まっている。苦しそうな吐息とともに目の前の男の目尻から水滴が流れ、大きな手が何かを求めるように、胸元で揺らめく紫水晶を握りしめた。
「……燃え…………そげつ……!」
彼の口から紡がれるその音が、玉蓮の耳朶を打ち、脳裏にこだまする。
(……ああ、これは)
気が付けば、玉蓮は寝台の傍らで、彼の汗濡れた額に手を伸ばしていた。ただ、この男の傷に、痛みに、触れてみたかった。自分のそれに触れるように。

