「お、おい……玉蓮は本気か?」
「……朱飛さん、玉蓮のやつ……わかってないんじゃ」
「そうですよ。慈悲のつもりで生かそうとしてんじゃ。だけど、少しずつ切り落とす方がよっぽど……」
「馬鹿を言え。慈悲などあると思うか……玉蓮は、わかってやっている」
背後のざわめきを無視し、玉蓮は氷のような声で命じた。
「——落とせ」
玉蓮の合図とともに、横にいた兵士が剣を振り下ろす。口輪を噛ませられた男が「んぐぅぅぅーーッ!!」と絶叫する。恐怖で。
——ドスッ!
肉を断つ鈍い音。玉蓮は、地面に転がった血まみれの指を拾い上げる。そこに光っているのは、あの翡翠の指輪。
玉蓮は、その指を布とともに矢にくくりつけ、弓兵に渡した。
「射て」
風を切る音と共に、指を乗せた矢は一直線に飛んでいき、城壁の柱に突き刺さる。
「ひっ……!」
城主が崩れ落ちるのが見えた。
「次は、左手指、それが終われば足の指。少しずつ、少しずつ切り落とす! そなたの息子を切り刻むぞ!」
誰かの喉からゴクリと音がする。玉蓮は、表情一つとして変えなかった。
「最後だ! 開門せよ! 降伏せねば、城内に血の雨を降らす!」
息を吸い込む。
「城内の、にんげ——」
一瞬、言葉が途切れた。
『——無辜の民を蹂躙する道具であってはならぬ』
師の言葉が蘇る。ゴクリと唾を飲み込んで、玉蓮は再び城壁上の望楼を見た。
(——先生)
「——兵、一人ひとりを同じ目にあわせる!」
玉蓮が再び剣を振り上げると、城壁から絶叫が響いた。
「ま、待ってくれ! 開ける……開門する! 降伏する!」
「城主!」
「黙れ! 民を切り刻ませる気か! 降伏だッ! 開門せよ!」
——ギギギギ……。
重苦しい地響きと共に、堅く閉ざされていた城門が、ゆっくりと開き始めた。玉蓮は、息を漏らすことなく、冷たい表情のまま、剣を鞘に納めた。

