「——ご報告!」
静寂を切り裂いて、伝令が天幕に転がり込んできた。
「先ほど、城主の息子を捕縛しました! 現在、こちらへ連行中です!」
瞬間、天幕の空気が凍りついた。牙門の笑い声も、刹の照れ臭そうな顔も、すべてが遠のく。
赫燕が、ゆっくりと立ち上がった。その顔にはもう、毒のない笑みなど欠片もない。あるのは、獲物を前にした獣の愉悦だけ。
「……聞こえたか、玉蓮」
低く、地を這うような声。
「お前の策だ。お前の手で、最後まで見届けろ」
「……行ってまいります」
剣を持ち、手を合わせて頭を下げる。渡されたばかりの刹の剣が、ずしりと重く、冷たく感じられた。

