迅の言葉を号砲にして、伏せていた騎馬隊が一つの巨大な生き物のように、一分の隙もなく駆け出した。

玉蓮もその中で、馬を走らせる。(ひづめ)の音が地鳴りとなって大地を揺らし、その振動は甲冑を通して心の臓に直接響く。巻き上がる土煙と鉄の匂いが混じり合い、肺を満たす。

風を切り裂く速さで進む騎馬隊の先頭で、迅の栗色の髪が激しく揺れた。

「き、奇襲だ! 左翼からだ!」

横腹を食い破る形で、嵐のように切り込んだ必殺の部隊。

目の前で、敵兵の甲冑がガタガタと音を立てながら、こちらを向く。だが、次の瞬間には赫燕軍の剣や槍がその甲冑を紙のように貫いていた。

殲滅(せんめつ)しろ!」

迅の声が響き、それに呼応するように騎馬がさらに雪崩れ込む。彼らの顔には、獲物を追い詰める冷酷な笑みが浮かび、鋭利な剣は容赦なく、そして確実に敵を薙ぎ倒していく。

すると、面白いように道が開けていき、派手な馬具をつけた、敵将の馬が見えた。