塾でも奇異な天才として彼の名は噂に上っていた。赫燕将軍は、白楊軍を駆け上がるようにして出世し、若くして将軍となった稀有な存在だ。
八尺五寸とも言われる体躯と、美しい風采に加えて、その聡明さ。
そして何よりも、王自らが詠じたという詩が、その名をさらに特別なものにしていた。
◇◇◇◇
魁偉 龍姿 鳳貌 赫然。
鬼才 天授 兵道 莫測。
*
雄々しく威風堂々たる龍の姿、鳳凰のごとき容貌が際立ち輝いている。
その才は鬼神の如く、天に授けられしもの。
兵法の奥深さは測り知れず。
◇◇◇◇
私塾の兄弟弟子たちは、赫燕の軍略とともに、この詩を何度も口にした。
「はい、お名前とその戦果と、そして……」
玉蓮が言い淀む。
大陸最強とも言われる、強力な騎馬隊を擁する赫燕軍がおさめる戦果は、突出していた。彼の指揮する騎馬隊は、嵐のように敵を蹂躙し、瞬く間に戦局を覆すと言われている。だが——
「——その、非道」
玉蓮の心を見透かしたかのように、劉義は静かに言葉を継いだ。
「あの男は、戦っている盤そのものが違う。地を取るのではない。ただひたすらに、敵の駒を殺すことだけを目的とする。相手を攻め立て、そして最後には、盤そのものを叩き割る」
八尺五寸とも言われる体躯と、美しい風采に加えて、その聡明さ。
そして何よりも、王自らが詠じたという詩が、その名をさらに特別なものにしていた。
◇◇◇◇
魁偉 龍姿 鳳貌 赫然。
鬼才 天授 兵道 莫測。
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雄々しく威風堂々たる龍の姿、鳳凰のごとき容貌が際立ち輝いている。
その才は鬼神の如く、天に授けられしもの。
兵法の奥深さは測り知れず。
◇◇◇◇
私塾の兄弟弟子たちは、赫燕の軍略とともに、この詩を何度も口にした。
「はい、お名前とその戦果と、そして……」
玉蓮が言い淀む。
大陸最強とも言われる、強力な騎馬隊を擁する赫燕軍がおさめる戦果は、突出していた。彼の指揮する騎馬隊は、嵐のように敵を蹂躙し、瞬く間に戦局を覆すと言われている。だが——
「——その、非道」
玉蓮の心を見透かしたかのように、劉義は静かに言葉を継いだ。
「あの男は、戦っている盤そのものが違う。地を取るのではない。ただひたすらに、敵の駒を殺すことだけを目的とする。相手を攻め立て、そして最後には、盤そのものを叩き割る」

