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会談の天幕へと入ると、赫燕がこちらを見ずに無言で手を差し伸べた。玉蓮が手を合わせれば、しっかりと握り締められ、少しだけ強く引かれる。そのまま彼の隣に導かれるようにして腰を下ろす。
やがて、玄済国の代表団が姿を現した。その中心に立つ男を見て、場の空気が変わった。
——崔瑾。
彼の纏う空気は、赫燕の暴力的なまでの「闇」とも、劉永の眩しいほどの「光」とも違う、まるで深い森のようだった。その瞳は、ただ静かに、全てを見通しているかのように真っ直ぐにこちらに向けられている。
会談の場となる天幕の中は、交渉のために焚かれた高価な香の香りと、これから始まるであろう、言葉の戦争の息詰まるような緊張感とが混じり合っていた。
会談の天幕へと入ると、赫燕がこちらを見ずに無言で手を差し伸べた。玉蓮が手を合わせれば、しっかりと握り締められ、少しだけ強く引かれる。そのまま彼の隣に導かれるようにして腰を下ろす。
やがて、玄済国の代表団が姿を現した。その中心に立つ男を見て、場の空気が変わった。
——崔瑾。
彼の纏う空気は、赫燕の暴力的なまでの「闇」とも、劉永の眩しいほどの「光」とも違う、まるで深い森のようだった。その瞳は、ただ静かに、全てを見通しているかのように真っ直ぐにこちらに向けられている。
会談の場となる天幕の中は、交渉のために焚かれた高価な香の香りと、これから始まるであろう、言葉の戦争の息詰まるような緊張感とが混じり合っていた。

