中学生

ほら、また。
寒い冬。部活が終わり帰る頃には外は真っ暗
上を見上げるとぼんやりと確かに夜空を照らす月が、我が主役だと言わんばかりに大きく胸を張っている様に見える。
まぁ寒空に浮かぶ唯一の明かりだから主役と言えば主役だが。
なにか違う。最近ふとそう思うようになる事がある。「何かが違う」とは分かるがその肝心の「何か」が分からない。そんなモヤモヤした気持ちを最近ずっと抱えている。分からない事は考えても無駄でいつか分かった時に分かれば良い。そう自分に言い聞かせるが違和感が消えることはない。
「お~いもう下校時間だぞ~!」
先生の声が聞こえる。そうだ早く家に帰らなければ。そう思い出しバッグの中から手袋とネックウォーマーを取り出す。寒い冬に自転車に乗るにはこの2つを着けないと死んでしまいそうになる。自転車を押しながら登校坂に向かう途中、ふといい匂いがした。一緒に帰る友達に
「いい匂いがするね。何の花かな?」
話題を振ると友達は少し考えて
「中庭に植えてある藤の花じゃないかな?」
そう返事が返ってきた。あぁ確かにと短く返事を返した後、大きく息を吸う。冷たい空気と藤の香りが肺いっぱいに広がる
藤の香りはなんだかとてもいい気分になる。それと同時に
ほら、また違和感