タイトル：
『幼馴染の様子がおかしい話』
投稿者：
ホウキボシ
投稿日：
2025/10/20
オレの幼馴染の女の子の様子がおかしい。
最近何かびくびくしてるというか、明るい子だったのに全然元気がないというか。
ちなみにオレは男子高校生で、その子の名前はサキとでもしておく。小学校の頃から近所に住んでて学校一緒、高校も――なんとなく示し合わせて同じ学校に行った。ぶっちゃけ、最終的にいい感じの関係になれたらいいなあ、的な気持ちはある。はい、下心スンマセン。
んで、その子の様子が最近おかしいわけ。
オレが話しかけても上の空だったりするし、学校の成績も並程度だったのにこの間のテストは全然できなかったっていうし。明らかに何かあったっぽいのに、本人が全然教えてくれない。でも、このままじゃいけないと思って、ちょっとしつこく訊いたんだよ。
「どうしたんだよ、サキ。何かあったのか？Ａちゃんが学校休んでるつったけど、それと何か関係ある？」
オレがそう尋ねると、サキはなんと泣き出してしまった。結構しっかりもので強かな性格だと思ってたから驚いた。
どうやら、友達のＡちゃんのことが関係しているらしい。Ａちゃんが病気で心配なのかと思ったんだけど、そういう理由ではないらしくって。
「ごめん、その、こんな話相談していいのかどうかって。ホウキボシくんに信じて貰えないんじゃないかと思って黙ってたんだけど」
「うん」
「私、呪われたかもしれないの」
呪われた。なんとも穏やかじゃない言葉だ。
サキの話によれば。Ａちゃんが休む前に、彼女からある相談を受けていたらしい。なんでも、Ａちゃんのお祖母ちゃんが亡くなった時に、形見分けということで人形を一つ預かったそうなのだ。金庫に仕舞われていた人形ということで、きっとお祖母ちゃんが大事にしていたものだろうという。はっきり言ってそういうものに興味がある人もおらず、かといってお祖母ちゃんが大事にしていたっぽい人形を粗末に扱うこともできず、お祖母ちゃんの子供三人のうち末っ子だったＡちゃんのお父さんの家でいったん預かることにした、という経緯のようだ。
その人形だが、布と毛糸でできた市松人形？みたいなデザインだという。家に連れてきてからというもの、夜な夜な人形の位置が変わるのでＡちゃんは不気味がって、サキに相談したということらしかった。
サキはＡちゃんの家に遊びに行くこともあるくらい仲がいい。せっかくだから遊びに行った時にその人形も見せて貰うことにしたようだ。
サキは特に霊感が強いとか、そういうのがあるわけでもない。人形は、サキが見ている前では特におかしなことなど何もなかったという。手に取ってひっくり返したりと調べてみたが、少し汚れていて直した形跡があること以外に変だと思う点はなかったようだ。
ところが。
「その人形を触ってから、夜に変な夢を見るようになって」
サキは青い顔で言う。
「何故か、その人形が私の家にある夢を見るの。で、夜中に動いてね、気づけば私の顔の横でじーっと私を見下ろしている夢なの。私の顔を見ながら、人形がガサガサ声で呟くんだよね……」
『そろそろ次の代を貰わねばならぬ』
『約束は果たされねばならぬ』
『我を生まれ変わらせよ。さもなくば、さもなくば』
あくまでそれは夢だ。
しかし連日連夜同じ夢を見る上、起きている時もなんだか視線を感じるようになってしまって恐ろしいという。しかも、その人形を預かっていたＡちゃんが学校を休むようになり、連絡も取れない状態になってしまった。
これは本当に何かあるんじゃないかと心配になっているらしい。
「えっと、その人形の写真とかある？」
ただの夢だ、思い込みだと思うだけなら簡単だ。でもオレはどうしてもそう思えなくて、彼女に尋ねたんだ。実はサキには言ってないんだけど、ちょっとだけオレには霊感っぽいものがあってさ。まあ、ヤバイものがわかるとか、その程度の力なんだけど。
サキは頷いてスマホで撮影した人形の写真を見せてくれた。その写真、ここにアップさせて貰います。
つ 【布でできたおかっぱに赤い着物の女の子の人形。目は赤いボタンでできている。少し薄汚れているが、それ以上おかしなところはない】
みんなはこの写真、どんな風に見える？
オレ――この人形が、真っ黒に汚れてて、しかもすごい顔で嗤ってるように見えるんだよね。でも、両親とか友達に見せても、みんなは普通の人形に見えるっていうんだ。
直感した。これ、すんごいやばいやつだ、って。人形がただの呪物なら、こいつをなんとかすれば終わりそうではある。でも、そもそもサキは人形の所有者じゃない。にも拘らず、触っただけで呪いが飛んできてるって、なんかもう既によろしくない気配がびんびんしてるわけで。
オレは、サキが知っている範囲で、Ａちゃんについて教えて貰った。正確には、Ａちゃんのお祖母ちゃんについて。
正直こういうところに本当にある固有名詞出して大丈夫なのかと思うけど、今は一つでも情報が欲しいから記載しとく。Ａちゃんのお父さんの実家＝お祖母ちゃんの家があるのは逆茂木町ってところらしい。逆茂木、とかいてサカモギ、と読む。栃木県のかなり山奥の方にある町らしい。
この逆茂木町っていうのを調べてみたんだけど、特におかしなところがあるような村じゃなかった。ただ調べる途中で気になったのが、二十年ほど前に近隣の別の村が土砂崩れでまるごとなくなってるってことなんだよな。
なくなった村の名前は深代村。
村って名前だけど結構広さは広かったらしい。妙なのは、この村だけが綺麗に土砂崩れに巻き込まれたってこと。すぐ隣の町だった逆茂木村はまったくの無傷だったんだ。まるで逆茂木村には何かのご加護があって守ってもらったか、もしくは土砂崩れが完全に深代村だけターゲットにしてたみたいだろ？
この深代村なんだけど、なんか室町とかそれ以前からあるすんげー古い村だったみたいだ。逆茂木町とも長らく親交が深くて、深代村から逆茂木町に嫁に来る人とかも何人もいたらしい。
深代村は室町かそれ以前に、稲生家、我妻家、草野家っていう三つの家が中心となって作った村だってことはわかった。でもそれ以上の情報は、ネットで調べただけじゃ出てこなかった。――サキは、お祖母ちゃんのお母さんが、近くの村からお嫁に来た人だと聞いていたみたいだ。それがもし深代村なら、深代村と人形の件、何か繋がりがあるのかもしれないと思ったんだけど……。
とりあえず、サキは神社に連れていって、お祓いか何かできないかどうか相談してみようと思ってる。必要ならＡちゃんも頼んで、Ａちゃんについても何かできないかどうか話してみようと思う。
はっきり言ってこれ、一介の高校の手に余るのは明白だし。
もしまた、何かわかったらここに書き込んでみようと思う。その時は読んでくれると嬉しい。
ていうか、逆にこの人形とか、逆茂木町や深代村について何か知ってるよって人！いたらその人もコメントで教えてくれると嬉しいです。
何卒よろしく、よろしく。
『幼馴染の様子がおかしい話』
投稿者：
ホウキボシ
投稿日：
2025/10/20
オレの幼馴染の女の子の様子がおかしい。
最近何かびくびくしてるというか、明るい子だったのに全然元気がないというか。
ちなみにオレは男子高校生で、その子の名前はサキとでもしておく。小学校の頃から近所に住んでて学校一緒、高校も――なんとなく示し合わせて同じ学校に行った。ぶっちゃけ、最終的にいい感じの関係になれたらいいなあ、的な気持ちはある。はい、下心スンマセン。
んで、その子の様子が最近おかしいわけ。
オレが話しかけても上の空だったりするし、学校の成績も並程度だったのにこの間のテストは全然できなかったっていうし。明らかに何かあったっぽいのに、本人が全然教えてくれない。でも、このままじゃいけないと思って、ちょっとしつこく訊いたんだよ。
「どうしたんだよ、サキ。何かあったのか？Ａちゃんが学校休んでるつったけど、それと何か関係ある？」
オレがそう尋ねると、サキはなんと泣き出してしまった。結構しっかりもので強かな性格だと思ってたから驚いた。
どうやら、友達のＡちゃんのことが関係しているらしい。Ａちゃんが病気で心配なのかと思ったんだけど、そういう理由ではないらしくって。
「ごめん、その、こんな話相談していいのかどうかって。ホウキボシくんに信じて貰えないんじゃないかと思って黙ってたんだけど」
「うん」
「私、呪われたかもしれないの」
呪われた。なんとも穏やかじゃない言葉だ。
サキの話によれば。Ａちゃんが休む前に、彼女からある相談を受けていたらしい。なんでも、Ａちゃんのお祖母ちゃんが亡くなった時に、形見分けということで人形を一つ預かったそうなのだ。金庫に仕舞われていた人形ということで、きっとお祖母ちゃんが大事にしていたものだろうという。はっきり言ってそういうものに興味がある人もおらず、かといってお祖母ちゃんが大事にしていたっぽい人形を粗末に扱うこともできず、お祖母ちゃんの子供三人のうち末っ子だったＡちゃんのお父さんの家でいったん預かることにした、という経緯のようだ。
その人形だが、布と毛糸でできた市松人形？みたいなデザインだという。家に連れてきてからというもの、夜な夜な人形の位置が変わるのでＡちゃんは不気味がって、サキに相談したということらしかった。
サキはＡちゃんの家に遊びに行くこともあるくらい仲がいい。せっかくだから遊びに行った時にその人形も見せて貰うことにしたようだ。
サキは特に霊感が強いとか、そういうのがあるわけでもない。人形は、サキが見ている前では特におかしなことなど何もなかったという。手に取ってひっくり返したりと調べてみたが、少し汚れていて直した形跡があること以外に変だと思う点はなかったようだ。
ところが。
「その人形を触ってから、夜に変な夢を見るようになって」
サキは青い顔で言う。
「何故か、その人形が私の家にある夢を見るの。で、夜中に動いてね、気づけば私の顔の横でじーっと私を見下ろしている夢なの。私の顔を見ながら、人形がガサガサ声で呟くんだよね……」
『そろそろ次の代を貰わねばならぬ』
『約束は果たされねばならぬ』
『我を生まれ変わらせよ。さもなくば、さもなくば』
あくまでそれは夢だ。
しかし連日連夜同じ夢を見る上、起きている時もなんだか視線を感じるようになってしまって恐ろしいという。しかも、その人形を預かっていたＡちゃんが学校を休むようになり、連絡も取れない状態になってしまった。
これは本当に何かあるんじゃないかと心配になっているらしい。
「えっと、その人形の写真とかある？」
ただの夢だ、思い込みだと思うだけなら簡単だ。でもオレはどうしてもそう思えなくて、彼女に尋ねたんだ。実はサキには言ってないんだけど、ちょっとだけオレには霊感っぽいものがあってさ。まあ、ヤバイものがわかるとか、その程度の力なんだけど。
サキは頷いてスマホで撮影した人形の写真を見せてくれた。その写真、ここにアップさせて貰います。
つ 【布でできたおかっぱに赤い着物の女の子の人形。目は赤いボタンでできている。少し薄汚れているが、それ以上おかしなところはない】
みんなはこの写真、どんな風に見える？
オレ――この人形が、真っ黒に汚れてて、しかもすごい顔で嗤ってるように見えるんだよね。でも、両親とか友達に見せても、みんなは普通の人形に見えるっていうんだ。
直感した。これ、すんごいやばいやつだ、って。人形がただの呪物なら、こいつをなんとかすれば終わりそうではある。でも、そもそもサキは人形の所有者じゃない。にも拘らず、触っただけで呪いが飛んできてるって、なんかもう既によろしくない気配がびんびんしてるわけで。
オレは、サキが知っている範囲で、Ａちゃんについて教えて貰った。正確には、Ａちゃんのお祖母ちゃんについて。
正直こういうところに本当にある固有名詞出して大丈夫なのかと思うけど、今は一つでも情報が欲しいから記載しとく。Ａちゃんのお父さんの実家＝お祖母ちゃんの家があるのは逆茂木町ってところらしい。逆茂木、とかいてサカモギ、と読む。栃木県のかなり山奥の方にある町らしい。
この逆茂木町っていうのを調べてみたんだけど、特におかしなところがあるような村じゃなかった。ただ調べる途中で気になったのが、二十年ほど前に近隣の別の村が土砂崩れでまるごとなくなってるってことなんだよな。
なくなった村の名前は深代村。
村って名前だけど結構広さは広かったらしい。妙なのは、この村だけが綺麗に土砂崩れに巻き込まれたってこと。すぐ隣の町だった逆茂木村はまったくの無傷だったんだ。まるで逆茂木村には何かのご加護があって守ってもらったか、もしくは土砂崩れが完全に深代村だけターゲットにしてたみたいだろ？
この深代村なんだけど、なんか室町とかそれ以前からあるすんげー古い村だったみたいだ。逆茂木町とも長らく親交が深くて、深代村から逆茂木町に嫁に来る人とかも何人もいたらしい。
深代村は室町かそれ以前に、稲生家、我妻家、草野家っていう三つの家が中心となって作った村だってことはわかった。でもそれ以上の情報は、ネットで調べただけじゃ出てこなかった。――サキは、お祖母ちゃんのお母さんが、近くの村からお嫁に来た人だと聞いていたみたいだ。それがもし深代村なら、深代村と人形の件、何か繋がりがあるのかもしれないと思ったんだけど……。
とりあえず、サキは神社に連れていって、お祓いか何かできないかどうか相談してみようと思ってる。必要ならＡちゃんも頼んで、Ａちゃんについても何かできないかどうか話してみようと思う。
はっきり言ってこれ、一介の高校の手に余るのは明白だし。
もしまた、何かわかったらここに書き込んでみようと思う。その時は読んでくれると嬉しい。
ていうか、逆にこの人形とか、逆茂木町や深代村について何か知ってるよって人！いたらその人もコメントで教えてくれると嬉しいです。
何卒よろしく、よろしく。
