○場面は変わり、誠之助が休憩している宿。時間は夕暮れ時のまま。
宿は六畳一間の質素な宿。布団は敷いておらず、誠之助は畳の上で、寝転がる。
そして昼間の儀礼婚での出来事を回想する。
誠「忠房さまは、痴れ者ではあったが人であった。妖魔などでは決してなかった」「ならば、あの場で忠房様は変容したというのか?」
そして、刀袋に入った魔狩刀をみる。
誠「帝様は最初から今回のことを予期されていたのか?」
そしてふと、脳裏に織美が浮かぶ。背後にデーンと立つ輝永と、遠慮がちな表情の織美。
誠「それに、彼女を残していって、果たして良かったのか」
少し悩み、吹っ切るように結論を出す誠之助。
誠「否、考えてもしょうがない。拙者はこの首桶を届け、事を正確に報告するだけ」
襖がスッと開き、柊が現れる。 *この時点では、謎の存在っぽく
いきなりの来訪者に、誠之助は身構える。
柊は帝の印が押してある書状を、ずいっと誠之助に突きつける。
それを見た誠之助は、反射的に土下座をする。
誠(あれは帝の印)
土下座のまま、チラリと顔を上げて、柊の顔を見る。誠之助の視界に、柊の額の鉢金が映る。
誠(あの鉢金の彫り細工、魔狩忍か。なぜ、こんなところへ)
と、戸惑う誠之助は、まずは事情を説明しようとする。
誠「帝様の使者の方に申し上げます。此度の儀礼婚の立会人、井筒誠之助と申します。この儀礼婚において、忠房様は乱心し、やむなく私めが……」
どん。
誠之助の話の途中で、柊は忠房の首桶を踏み砕く。 *空の首桶を踏み砕くことで、柊は忠房が乱心したのではなく、妖魔となったこともわかっていることを暗示。
そして柊は書状を広げ、書かれた文を読むように誠之助に促す。
文章を読み戸惑う誠之助。
誠「戻れというのか。早乙女城へ」
○場面は早乙女城
織美が巻き尺で、輝永の体のサイズを測っている。
織美「硬い体」「体の動きは人間と同じなのかしら」
などと、輝永と人間の体の際に、軽く戸惑う独り言を呟く。
図られている輝永は、サイズが合っていない着物を、なんとか着ている。
織美「余った布はいくらかありますので、それで輝永さまの新しい服を仕立てますね」
輝永「楽しそうだな」
織美「はい、服を作るのは、好きなんです」
一話に出てきた人形が、綺麗な服を着ている。これも織美の手作り。
輝永「俺様に服は不要だが、我が妻からの贈り物となれば、別。其方が作ったものなら、片時も好みから離さず、ずっと身につけてようぞ」
織美「何着か作りますね、ちゃんとお洗濯もしますから」
そんな感じで、和気藹々と話す。
すでに織美には、輝永への恐怖心はない。*とはいえ、夫として受け入れてもいない
織美は、サイズを測り終え、彼の体から離れる。
そして輝永は、サイズが合わないので、崩れた着物を整える。その帯を治す動作の時、つい癖で腰の刀を探すような動作をする。 *刀は持っていない
その様子を見て、織美はふと気になる。
織美「輝永さまには、剣術の心得があるのですか?」
輝永「剣術?」
織美「あ、いえ、刀をしまう時に、独特の動きがありましたので」
同じように回転納刀の癖のある城弥と、輝永を重ねてしまう。
輝永「ああ、あの下等生物を成敗した時か」
織美「下等……帝様の御一門なのに」
と、帝の権威を全く気にしない輝永に怯む織美。それを気にせずに、輝永は少し記憶を探る。
輝永「あいにくだが、俺様に剣術を学んだ記憶はない。おそらく、その動きは、この体の癖のようなものだろう」「それに刀など使わずとも、俺様は強い」
そう言って、傀儡の腕を誇示し、指を動かして見せる。
球関節の腕が、キュイキュイと滑らかに動く。人間臭いところはあるが、輝永はあくまでも傀儡の妖魔であることを再確認する。
織美「寂しいものですね。過去の記憶がほとんどないというのは」
輝永「そのようなことはない」
輝永はポジティブ。
輝永「俺様が暗闇から目覚めた時、そなたが目の前にいた。俺様は、自分の名も定かではなく、そして過去の記憶もほとんどない。だが最愛の妻がいる。ならば愛しき妻との時間を、これから我が記憶として紡いでいけば良い」
それを聞いて、織美は自分がそれだけ愛されていると知り、少し嬉しい。
その一方、少し不安も感じる。
織美(輝永様は、私のことを大切にしてくださる。けどそれはなぜ? ひょっとして、鳥の雛が初めて見たものを親だと思うように、目覚めた時にいた私を嫁と思いっているだけなのでは……)
自己肯定感が低い織美は、急にネガティブになる。
織美(なぜだか、不安になる)
だが、それは部屋に侵入した妖力の妖気の影響であった。
不安を感じた織美の目に、リコンの腹から出てきた妖魔の姿がうつる。
天井に張り付いている一つ目の蛭のような妖魔を見て、織美は反射的に輝永に声をかける。
織美「輝永さま、あそこに!」
妖力を感じられない輝永は、織美の声で妖魔の存在に気付く。
輝永「曲者かっ!」
そう言った瞬間、自分の居場所がバレた妖魔は攻撃を開始する。
さらに襖が倒され、そこには五匹の妖魔が増援に現れる。
輝永「我が妻、俺様の後ろに」
と、自分の体を盾にする輝永。
○バトルシーン
まず一匹目。襲いかかった妖魔を、手刀で切り裂く。 *輝永の動きはダイナミックさはなく、シンプルな突き中心。蹴りは使わない。
すると、妖魔は塵となり雲散霧散していく。
輝永「くるぞっ」
織美に警告し、輝永は一歩踏み込む。
その瞬間に、襖向こうから現れた五匹の妖魔が一斉に飛びかかる。
それを一呼吸で迎撃する輝永。 *輝永の強さを表現
だが一匹だけ打ち漏らす。
輝永「しまった!」
慌てて振り返ると、その一匹は織美に襲いかかる。
悲鳴をあげる織美。
振り返った輝永の動きが早く、妖魔は織美に危害を加える前に、輝永の手刀で真っ二つにされる。そして、塵となって消える。
そして次の瞬間、妖魔が先程まで居た位置。そこにある輝永の手の甲に、棒手裏剣が突き刺さる。 *柊が織美を助けるために、妖魔に向けて放った
ザクっと貫通する棒手裏剣だが、輝永に痛覚はないので、動じることはない。
むしろ織美が、輝永に慌てて駆け寄る。
織美「大丈夫ですか」
輝永は、棒手裏剣が刺さっていない左手で、織美の頭を優しくなでる。
輝永「案ずるな。この程度の玩具では、俺様の体には傷ひとつつけられぬ」
実際には傷はついているので、織美は痛々しい手を心配げに見る。輝永の強がりではなく、傀儡の体の損傷には無頓着。
頭なでなでという初めての肉体的な接触を、戸惑いつつも受け入れる織美。
織美(なんだろ、作り物の冷たい手なのに、なんだか暖かい……)
輝永「それより、我が妻の身の安全が第一」
輝永は無造作に手裏剣を抜くと、倒れた襖の向こうに声をかける。
輝永「貴様がこの妖魔の親玉か? 姿を見せろ」
その呼びかけに応じて姿を見せたのは、対妖魔の装備で身を固めた柊。
彼の顔で見えるのは、目だけ。 *この時点では、柊は敵か味方かわからない存在
冷たく鋭い目つきで、柊は輝永と織美を見つめる。
柊「……強い妖力……」
一言だけ漏らすと、柊は背中の刀を抜こうとする。
鯉口が切られ、炎のような刃紋が見え、柊の刀が魔狩刀であることを伝える。
刀を抜いて飛びかかってくる柊。
輝永は、自分の後ろにいる織美を気にかける。
輝永(受けることも避けることも叶わぬ。ならばっ!)
輝永は真剣白刃取りで、柊の一撃を受け止める。
刃を挟む輝永の両掌から煙が上がる。 *魔狩刀の力
すぐさま輝永は、前蹴りで柊を吹き飛ばす。
が、柊はバク転をしながら、間合いを遠くとる。
そして輝永に見せつけるように、胸をはだけ、対妖魔用の胸甲を見せつける。 *これをつけているので、妖魔の攻撃には耐性がある。
柊は冷たい視線で輝永を睨むと、懐から棒手裏剣を取り出そうとする。
輝永「人ならざる強さ。貴様も妖魔か?」「我が妻、今から夫の責務を果たすゆえ、離れておれ」
そう言って、織美に下がるようにいう。
輝永の手の平が、黒く煤けている。そして手の甲には小さな穴が開いている。
輝永の傷ついた手を見て、織美は怒りの表情を柊に向ける。 *ここで織美が、怯えるのではなく、怒ることが重要。
織美を下がらせると、輝永は腰を少し落とし、足を開く。短めの着物から、素足が覗く。
輝永「たとえ誰であろうが、我が妻に刃を向けたものは、地獄へと落ちる」
輝永と柊の間に、緊張が高まった瞬間、誠之助の静止の声がかぶる。
誠「双方とも、それまで」*セリフのみ
織美、輝永、柊の三人が一斉に声の方を見ると、そこには息を切らせた誠之助がいた。
誠之助が現れたことで、織美はきゅっと輝永の着物の裾を掴む。
輝永「貴様は……先ほどいた邪魔者」
織美「あのお方は味方だと思います」
輝永「少なくとも、敵意は感じぬな」
誠「柊殿、このお方は妖魔ではない」
どう見ても輝永は傀儡の人外なのだが、誠之助の言葉には柊は素直に従う。
柊、戦闘体制を解く。
それを確認し、誠之助は輝永と織美に、かしこまって頭を下げる。
戦いが終わったことを悟った織美は、どこか照れ臭そうに、そして嬉しそうに、声をかける。
織美「輝永さま、また今回も私を守っていただき、ありがとうございます」
輝永も、それが休戦の合図と悟り、織美に向かって小さく頷いて見せる。
身を挺して織美を守ったことで、輝永への好感度がアップして、次回へ続く。
宿は六畳一間の質素な宿。布団は敷いておらず、誠之助は畳の上で、寝転がる。
そして昼間の儀礼婚での出来事を回想する。
誠「忠房さまは、痴れ者ではあったが人であった。妖魔などでは決してなかった」「ならば、あの場で忠房様は変容したというのか?」
そして、刀袋に入った魔狩刀をみる。
誠「帝様は最初から今回のことを予期されていたのか?」
そしてふと、脳裏に織美が浮かぶ。背後にデーンと立つ輝永と、遠慮がちな表情の織美。
誠「それに、彼女を残していって、果たして良かったのか」
少し悩み、吹っ切るように結論を出す誠之助。
誠「否、考えてもしょうがない。拙者はこの首桶を届け、事を正確に報告するだけ」
襖がスッと開き、柊が現れる。 *この時点では、謎の存在っぽく
いきなりの来訪者に、誠之助は身構える。
柊は帝の印が押してある書状を、ずいっと誠之助に突きつける。
それを見た誠之助は、反射的に土下座をする。
誠(あれは帝の印)
土下座のまま、チラリと顔を上げて、柊の顔を見る。誠之助の視界に、柊の額の鉢金が映る。
誠(あの鉢金の彫り細工、魔狩忍か。なぜ、こんなところへ)
と、戸惑う誠之助は、まずは事情を説明しようとする。
誠「帝様の使者の方に申し上げます。此度の儀礼婚の立会人、井筒誠之助と申します。この儀礼婚において、忠房様は乱心し、やむなく私めが……」
どん。
誠之助の話の途中で、柊は忠房の首桶を踏み砕く。 *空の首桶を踏み砕くことで、柊は忠房が乱心したのではなく、妖魔となったこともわかっていることを暗示。
そして柊は書状を広げ、書かれた文を読むように誠之助に促す。
文章を読み戸惑う誠之助。
誠「戻れというのか。早乙女城へ」
○場面は早乙女城
織美が巻き尺で、輝永の体のサイズを測っている。
織美「硬い体」「体の動きは人間と同じなのかしら」
などと、輝永と人間の体の際に、軽く戸惑う独り言を呟く。
図られている輝永は、サイズが合っていない着物を、なんとか着ている。
織美「余った布はいくらかありますので、それで輝永さまの新しい服を仕立てますね」
輝永「楽しそうだな」
織美「はい、服を作るのは、好きなんです」
一話に出てきた人形が、綺麗な服を着ている。これも織美の手作り。
輝永「俺様に服は不要だが、我が妻からの贈り物となれば、別。其方が作ったものなら、片時も好みから離さず、ずっと身につけてようぞ」
織美「何着か作りますね、ちゃんとお洗濯もしますから」
そんな感じで、和気藹々と話す。
すでに織美には、輝永への恐怖心はない。*とはいえ、夫として受け入れてもいない
織美は、サイズを測り終え、彼の体から離れる。
そして輝永は、サイズが合わないので、崩れた着物を整える。その帯を治す動作の時、つい癖で腰の刀を探すような動作をする。 *刀は持っていない
その様子を見て、織美はふと気になる。
織美「輝永さまには、剣術の心得があるのですか?」
輝永「剣術?」
織美「あ、いえ、刀をしまう時に、独特の動きがありましたので」
同じように回転納刀の癖のある城弥と、輝永を重ねてしまう。
輝永「ああ、あの下等生物を成敗した時か」
織美「下等……帝様の御一門なのに」
と、帝の権威を全く気にしない輝永に怯む織美。それを気にせずに、輝永は少し記憶を探る。
輝永「あいにくだが、俺様に剣術を学んだ記憶はない。おそらく、その動きは、この体の癖のようなものだろう」「それに刀など使わずとも、俺様は強い」
そう言って、傀儡の腕を誇示し、指を動かして見せる。
球関節の腕が、キュイキュイと滑らかに動く。人間臭いところはあるが、輝永はあくまでも傀儡の妖魔であることを再確認する。
織美「寂しいものですね。過去の記憶がほとんどないというのは」
輝永「そのようなことはない」
輝永はポジティブ。
輝永「俺様が暗闇から目覚めた時、そなたが目の前にいた。俺様は、自分の名も定かではなく、そして過去の記憶もほとんどない。だが最愛の妻がいる。ならば愛しき妻との時間を、これから我が記憶として紡いでいけば良い」
それを聞いて、織美は自分がそれだけ愛されていると知り、少し嬉しい。
その一方、少し不安も感じる。
織美(輝永様は、私のことを大切にしてくださる。けどそれはなぜ? ひょっとして、鳥の雛が初めて見たものを親だと思うように、目覚めた時にいた私を嫁と思いっているだけなのでは……)
自己肯定感が低い織美は、急にネガティブになる。
織美(なぜだか、不安になる)
だが、それは部屋に侵入した妖力の妖気の影響であった。
不安を感じた織美の目に、リコンの腹から出てきた妖魔の姿がうつる。
天井に張り付いている一つ目の蛭のような妖魔を見て、織美は反射的に輝永に声をかける。
織美「輝永さま、あそこに!」
妖力を感じられない輝永は、織美の声で妖魔の存在に気付く。
輝永「曲者かっ!」
そう言った瞬間、自分の居場所がバレた妖魔は攻撃を開始する。
さらに襖が倒され、そこには五匹の妖魔が増援に現れる。
輝永「我が妻、俺様の後ろに」
と、自分の体を盾にする輝永。
○バトルシーン
まず一匹目。襲いかかった妖魔を、手刀で切り裂く。 *輝永の動きはダイナミックさはなく、シンプルな突き中心。蹴りは使わない。
すると、妖魔は塵となり雲散霧散していく。
輝永「くるぞっ」
織美に警告し、輝永は一歩踏み込む。
その瞬間に、襖向こうから現れた五匹の妖魔が一斉に飛びかかる。
それを一呼吸で迎撃する輝永。 *輝永の強さを表現
だが一匹だけ打ち漏らす。
輝永「しまった!」
慌てて振り返ると、その一匹は織美に襲いかかる。
悲鳴をあげる織美。
振り返った輝永の動きが早く、妖魔は織美に危害を加える前に、輝永の手刀で真っ二つにされる。そして、塵となって消える。
そして次の瞬間、妖魔が先程まで居た位置。そこにある輝永の手の甲に、棒手裏剣が突き刺さる。 *柊が織美を助けるために、妖魔に向けて放った
ザクっと貫通する棒手裏剣だが、輝永に痛覚はないので、動じることはない。
むしろ織美が、輝永に慌てて駆け寄る。
織美「大丈夫ですか」
輝永は、棒手裏剣が刺さっていない左手で、織美の頭を優しくなでる。
輝永「案ずるな。この程度の玩具では、俺様の体には傷ひとつつけられぬ」
実際には傷はついているので、織美は痛々しい手を心配げに見る。輝永の強がりではなく、傀儡の体の損傷には無頓着。
頭なでなでという初めての肉体的な接触を、戸惑いつつも受け入れる織美。
織美(なんだろ、作り物の冷たい手なのに、なんだか暖かい……)
輝永「それより、我が妻の身の安全が第一」
輝永は無造作に手裏剣を抜くと、倒れた襖の向こうに声をかける。
輝永「貴様がこの妖魔の親玉か? 姿を見せろ」
その呼びかけに応じて姿を見せたのは、対妖魔の装備で身を固めた柊。
彼の顔で見えるのは、目だけ。 *この時点では、柊は敵か味方かわからない存在
冷たく鋭い目つきで、柊は輝永と織美を見つめる。
柊「……強い妖力……」
一言だけ漏らすと、柊は背中の刀を抜こうとする。
鯉口が切られ、炎のような刃紋が見え、柊の刀が魔狩刀であることを伝える。
刀を抜いて飛びかかってくる柊。
輝永は、自分の後ろにいる織美を気にかける。
輝永(受けることも避けることも叶わぬ。ならばっ!)
輝永は真剣白刃取りで、柊の一撃を受け止める。
刃を挟む輝永の両掌から煙が上がる。 *魔狩刀の力
すぐさま輝永は、前蹴りで柊を吹き飛ばす。
が、柊はバク転をしながら、間合いを遠くとる。
そして輝永に見せつけるように、胸をはだけ、対妖魔用の胸甲を見せつける。 *これをつけているので、妖魔の攻撃には耐性がある。
柊は冷たい視線で輝永を睨むと、懐から棒手裏剣を取り出そうとする。
輝永「人ならざる強さ。貴様も妖魔か?」「我が妻、今から夫の責務を果たすゆえ、離れておれ」
そう言って、織美に下がるようにいう。
輝永の手の平が、黒く煤けている。そして手の甲には小さな穴が開いている。
輝永の傷ついた手を見て、織美は怒りの表情を柊に向ける。 *ここで織美が、怯えるのではなく、怒ることが重要。
織美を下がらせると、輝永は腰を少し落とし、足を開く。短めの着物から、素足が覗く。
輝永「たとえ誰であろうが、我が妻に刃を向けたものは、地獄へと落ちる」
輝永と柊の間に、緊張が高まった瞬間、誠之助の静止の声がかぶる。
誠「双方とも、それまで」*セリフのみ
織美、輝永、柊の三人が一斉に声の方を見ると、そこには息を切らせた誠之助がいた。
誠之助が現れたことで、織美はきゅっと輝永の着物の裾を掴む。
輝永「貴様は……先ほどいた邪魔者」
織美「あのお方は味方だと思います」
輝永「少なくとも、敵意は感じぬな」
誠「柊殿、このお方は妖魔ではない」
どう見ても輝永は傀儡の人外なのだが、誠之助の言葉には柊は素直に従う。
柊、戦闘体制を解く。
それを確認し、誠之助は輝永と織美に、かしこまって頭を下げる。
戦いが終わったことを悟った織美は、どこか照れ臭そうに、そして嬉しそうに、声をかける。
織美「輝永さま、また今回も私を守っていただき、ありがとうございます」
輝永も、それが休戦の合図と悟り、織美に向かって小さく頷いて見せる。
身を挺して織美を守ったことで、輝永への好感度がアップして、次回へ続く。


