◇アルバート視点◇
わしの目の前にいるこのおっさん。
いったいなんなのだ……
七発同時詠唱の上級火魔法を全て真正面から受け切った……
あり得ん……
この一撃で完全に勝負は決まるはずだったが、平然と立っているではないか。
だが、多くの実戦を経て、多くの死地を潜り抜けてきたわしの体は即座に反応する。
間髪入れずに次の攻撃を繰り出すために。
火魔法とは単に威力や大きさだけで優劣が決まるわけではない。
わしには熟練の技術がある。
―――上級火炎剣。
わしの十八番である。高密度の火炎を凝縮した一振りだ。
さきほど放った七重魔法の爆炎がうまくわしの姿を消してくれる。
地を蹴り一気におっさんとの間合いを詰めた。
おっさんはわしを魔法使いと認識しているはず。だが、わしの剣術は上級騎士レベル。
まさか近接戦を仕掛けるとは思っていないだろう。
よし! このまま勝負をつける!
が―――
目の前のおっさんはわしのヒートソード受け切った。
それほど体術に秀でているようには思えん。素人の動き。しかしそんなことよりも……
おい―――
なぜ素手でうけておるのだ……
耐火性の高い盾であろうと両断するわしの一太刀を。
しかも「痛てっ」とか言うとるし。
わしの炎を凝縮しとるんだぞ。そんなふざけた声が出るはずがないだろうが。
くっ……
今まで積み重ねた自信が崩れ去りそうだが、ここで負けるわけにはいかんのだ!
二の太刀、三の太刀とおっさんに斬り込むが―――
「痛てっ!」
だからなぜ素手で受けるのじゃ……
「痛てっ」言うとるから、ダメージは多少あるようじゃが。
もうわしの炎は関係なくないか?
これでは木剣で殴っているのと変わらんではないか。
むっ―――!?
おっさんがなんかやりだした!
炎を手元に集中しておるな……
まさかわしのヒートソードを……!?
おっさんが「ぐぬぅうう」と唸っている。
剣の形成にてこずっておるのか? しかしこの凝縮量は嫌な予感しかしない。
いやいやいやいや……
な、なんなのだ。あの丸太みたいなヒートソードは。
しかもあの大きさで炎の純度が圧倒的にわしのものよりも上だとぉ。
ならば―――先に仕掛けるまで!
わしは全力で上級火炎剣をおっさんに繰り出そうとするが、おっさんの丸太が上からわしめがけて振り下ろされて来た。
とっさにヒートソードで受けようとするも―――
む、無理じゃ……こんな高密度の太っとい炎。
即座に受け切るのは不可能と判断したわしは、ヒートソードを瞬間的に前方に破裂させる。
その反動で後方に吹っ飛び、地獄の丸太ソード直撃を回避した。
なんなのだ? このおっさんぶっ飛んでおる。
だが、おっさんの恐怖はそれで終わらない。
【焼却】と口を開いたかと思えば、わしの周辺に地獄の業火が立ち上がる。
―――これはまずい!!!
わしは速攻で防御魔法を三重詠唱した。
だが、そんなものは無かったかのように消し飛ばして業火が迫ってくる。
なんじゃこの炎は……あり得ん!!
わしは奥の手の緊急転送魔法を使わざるを得なかった。
瞬間的に肉体を別の場所へ移動することが出来る魔法。
しかしこの魔法は体にとんでもない負荷がかかってしまう。数分後には立ち上がることすら出来なくなるだろう。
出来ることなら使用は避けたかった。
だが奥の手を使わざるえないほど、おっさんの炎はとんでもなかった。
次の攻撃で決めなければ、わしに勝機はないな……
―――いいだろう
「わしの最大最高の魔法で―――けりをつけてくれる!」
◇バートス視点◇
最大最高の魔法だと……
これはヤバい! 控え目に言ってヤバイ! いや明らかにヤバイ!
もう脳内のおっさんボキャブラリーが枯渇して、「ヤバイ」しか出てこない。
「―――九重詠唱!
――――――上級火炎魔法!」」」」」」」」」
アルバートの周りに九つの火球が現れる。
んん? あれは小手調べで放ったやつじゃないか?
「貴殿にはこの上級火炎魔法でとどめを刺すことはできん」
なら、なぜ今更そんな魔法を使うんだ? 良く分からん。
こんなの何発放とうが同じことなんだが。
「1つ1つの上級火炎魔法では貴殿を倒せないが―――
――――――合体魔法!!」
アルバートの杖に9つの火球が集まり、一つの火球となる。
「炎に精通した貴殿ならばわかるだろう。単に上級火炎魔法を9つ合体させたのではないということが」
たしかに……今までのアルバートの炎とは違う。
なるほど。
これはそこそこなやつだな。
「これで決着じゃあああ!! くらえぃいいいい!!
―――――――――最終火炎魔法!!!」
アルバートの放った火球が俺に向かって猛進してくる。
俺は指をポキポキと鳴らして、スゥーと息を吸い込んだ。
おっさんがやれることは決まっている。
たったひとつだ。
「――――――【焼却】!」
――――――ボウッ!!
わしの目の前にいるこのおっさん。
いったいなんなのだ……
七発同時詠唱の上級火魔法を全て真正面から受け切った……
あり得ん……
この一撃で完全に勝負は決まるはずだったが、平然と立っているではないか。
だが、多くの実戦を経て、多くの死地を潜り抜けてきたわしの体は即座に反応する。
間髪入れずに次の攻撃を繰り出すために。
火魔法とは単に威力や大きさだけで優劣が決まるわけではない。
わしには熟練の技術がある。
―――上級火炎剣。
わしの十八番である。高密度の火炎を凝縮した一振りだ。
さきほど放った七重魔法の爆炎がうまくわしの姿を消してくれる。
地を蹴り一気におっさんとの間合いを詰めた。
おっさんはわしを魔法使いと認識しているはず。だが、わしの剣術は上級騎士レベル。
まさか近接戦を仕掛けるとは思っていないだろう。
よし! このまま勝負をつける!
が―――
目の前のおっさんはわしのヒートソード受け切った。
それほど体術に秀でているようには思えん。素人の動き。しかしそんなことよりも……
おい―――
なぜ素手でうけておるのだ……
耐火性の高い盾であろうと両断するわしの一太刀を。
しかも「痛てっ」とか言うとるし。
わしの炎を凝縮しとるんだぞ。そんなふざけた声が出るはずがないだろうが。
くっ……
今まで積み重ねた自信が崩れ去りそうだが、ここで負けるわけにはいかんのだ!
二の太刀、三の太刀とおっさんに斬り込むが―――
「痛てっ!」
だからなぜ素手で受けるのじゃ……
「痛てっ」言うとるから、ダメージは多少あるようじゃが。
もうわしの炎は関係なくないか?
これでは木剣で殴っているのと変わらんではないか。
むっ―――!?
おっさんがなんかやりだした!
炎を手元に集中しておるな……
まさかわしのヒートソードを……!?
おっさんが「ぐぬぅうう」と唸っている。
剣の形成にてこずっておるのか? しかしこの凝縮量は嫌な予感しかしない。
いやいやいやいや……
な、なんなのだ。あの丸太みたいなヒートソードは。
しかもあの大きさで炎の純度が圧倒的にわしのものよりも上だとぉ。
ならば―――先に仕掛けるまで!
わしは全力で上級火炎剣をおっさんに繰り出そうとするが、おっさんの丸太が上からわしめがけて振り下ろされて来た。
とっさにヒートソードで受けようとするも―――
む、無理じゃ……こんな高密度の太っとい炎。
即座に受け切るのは不可能と判断したわしは、ヒートソードを瞬間的に前方に破裂させる。
その反動で後方に吹っ飛び、地獄の丸太ソード直撃を回避した。
なんなのだ? このおっさんぶっ飛んでおる。
だが、おっさんの恐怖はそれで終わらない。
【焼却】と口を開いたかと思えば、わしの周辺に地獄の業火が立ち上がる。
―――これはまずい!!!
わしは速攻で防御魔法を三重詠唱した。
だが、そんなものは無かったかのように消し飛ばして業火が迫ってくる。
なんじゃこの炎は……あり得ん!!
わしは奥の手の緊急転送魔法を使わざるを得なかった。
瞬間的に肉体を別の場所へ移動することが出来る魔法。
しかしこの魔法は体にとんでもない負荷がかかってしまう。数分後には立ち上がることすら出来なくなるだろう。
出来ることなら使用は避けたかった。
だが奥の手を使わざるえないほど、おっさんの炎はとんでもなかった。
次の攻撃で決めなければ、わしに勝機はないな……
―――いいだろう
「わしの最大最高の魔法で―――けりをつけてくれる!」
◇バートス視点◇
最大最高の魔法だと……
これはヤバい! 控え目に言ってヤバイ! いや明らかにヤバイ!
もう脳内のおっさんボキャブラリーが枯渇して、「ヤバイ」しか出てこない。
「―――九重詠唱!
――――――上級火炎魔法!」」」」」」」」」
アルバートの周りに九つの火球が現れる。
んん? あれは小手調べで放ったやつじゃないか?
「貴殿にはこの上級火炎魔法でとどめを刺すことはできん」
なら、なぜ今更そんな魔法を使うんだ? 良く分からん。
こんなの何発放とうが同じことなんだが。
「1つ1つの上級火炎魔法では貴殿を倒せないが―――
――――――合体魔法!!」
アルバートの杖に9つの火球が集まり、一つの火球となる。
「炎に精通した貴殿ならばわかるだろう。単に上級火炎魔法を9つ合体させたのではないということが」
たしかに……今までのアルバートの炎とは違う。
なるほど。
これはそこそこなやつだな。
「これで決着じゃあああ!! くらえぃいいいい!!
―――――――――最終火炎魔法!!!」
アルバートの放った火球が俺に向かって猛進してくる。
俺は指をポキポキと鳴らして、スゥーと息を吸い込んだ。
おっさんがやれることは決まっている。
たったひとつだ。
「――――――【焼却】!」
――――――ボウッ!!

