「最強の火魔法使いだって!?」
「はい、バートス。王国で獄炎のアルバートという二つ名を知らない魔法使いはいません」
最強……獄炎……。
なにそれ、とんでもないじいさまじゃないか。
「随分と懐かしい名前だな……もう昔の話じゃよ。リズ殿」
「王国魔法師団長のあなたが、なぜ私たちを狙うのですか?」
「……」
アルバートはリズの問いかけには答えず、手にもつ杖をこちらに向ける。
「―――火炎魔法!」
いきなり放たれる火球。
「くっ! ―――三連撃氷結槍魔法!」
リズの放った氷の槍は3本とも火球に命中して、双方の魔法は相殺された。
「おお、やるな聖女殿。わしの魔法を相殺するとは、以前より腕を上げたな」
「っ……! ただの初級魔法なのに、この威力ですか。とんでもない人ですね」
なんだか状況が呑み込めないうちに戦闘がはじまってしまった。
だが、俺はリズの従者だ。
王国最強の火魔法使いだろうが関係ない。
「―――リズ、俺たちも加勢するぞ」
だが、前に出ようとした俺にリズは制止の手をあげる。
「バートス、もう少しだけアルバートと話をさせてください」
リズが真剣な眼差しを俺に送って来た。
どうやらこのじいさんとは、ただの知り合いというわけではなさそうだ。
「わかった。リズのしたいようにしてくれ」
「ありがとう、バートス」
「だが俺が危ないと判断したら、その時は許可なく割って入るぞ」
「はい、お願いしますね」
俺たちのやり取りを見ていたアルバートが、俺に鋭い視線を向ける。
「バートス……そうか。彼がレッドドラゴンを跡形もなく燃やしたという、火魔法使いじゃな」
「そうです。バートスは手強いですよ」
「ああ……そのようだな。全力で戦わねばならんかもしれんな」
「なぜです? あなたがこのようなことをする理由が見当たりません。話し合いはできないのですか?」
リズのその綺麗な紫眼の奥には困惑と苛立ちがみえる。
アルバートはふぅ……と一息入れたかと思うと、再び杖をリズに向けた。
「残念ながらそれはできん!―――三重詠唱!
「「「――――――中級火炎魔法!」」」
なにあれ!
なんかアルバートの口が3つに増えた!?
「―――くっ! 3つ同時!! それにこれが中級魔法? 完全に上級魔法です!」
リズが聖杖を構えて防御態勢を取る。
『ひゃ~~ん、あんなの無理じゃ~~』
「ちょっ、エレナ落ち着きなさい!」
その場から逃げだそうと懸命にブルンブルン揺れる聖杖。
なにやってんだ、エレナのやつ……。
「―――聖極大氷結鏡魔法!!」
おお! これ、ニワトリ討伐の時に使ったやつだ。
リズのまわりに巨大な分厚い氷壁がズズズと現れる。
「む? なんと……独自魔法か……やるな!
――――――だが!!」
アルバートの放った3つの火球はリズの氷に激突して、その勢いを失わずに壁を削り取っていく。
「そんな……キングコカトリスの石化砲を跳ね返した壁が……」
猛烈な勢いで削り取られていくリズの氷壁。
これはピンチか? おっさんも参戦した方がいいのか?
カルラも固有能力を使用するために角と尻尾をつけた。
そこへやだやだ騒いでいた天使が、再び口を開いた。
『しょうがないのじゃ~~灰になりたくないからわれも力を貸すのじゃ~~』
「ちょっと、エレナ。暴れないでください!」
『んんんん~~~~』
リズの言葉にはお構いなしに、ブルンブルンと暴れ倒すエレナ。
―――聖杖が光をおびて輝き出した。
「―――え? これは?」
聖杖の先端にまるい光の輪が浮かび上がる。
これは……エレナの天使の輪か?
「す、凄いですエレナ。なんだか力がみなぎってきます!」
『どうじゃ~~われが本気をだせば~~こんなもんじゃい! エッヘン!』
どうやら聖杖エレナが本領を発揮したらしい。
まあ天使だし。単に食いしん坊な幼女ではないとうことか。
聖杖をブンブン振り回して自信に満ち溢れるリズ。
リズはその勢いのまま、壁を崩しつつ迫る火球に聖杖を思いっきり振りあげる。
『へ? ちょ、ちょっとまつのじゃ~~リズ! もっと聖女っぽい魔法とか……』
「さあ! 行きますよ~~エレナ~~
――――――えいっ!!」
スパコ―――ン!!
と子気味良い音を上げて、火球の1つを打ち返すリズ。
こりゃ凄いな。魔法なのか良く分からんが、思いっきり聖杖を振りぬいたぞ。
「凄いですよエレナ! さあ~~次々行きますよ~~ブンブン!!」
『ぶんぶんって……ま、まつのじゃリズ。ねぇ~~まってぇえええええたらぁああ!!』
「―――――えいっ! えいっ!」
スパコ―――ン!!
スパコ―――ン!!
あっと言う間に火球はすべて弾き飛ばされていった。
『使い方がわれの想像と違うのじゃ~~あついぃいいい!!』
エレナはリズの聖杖として大活躍だな。さすが天使だ。
まあ当の本人は悲鳴をあげているけどな。
「―――ぐっ! まさかわしの三重火球を……跳ね返すとは!?」
アルバートはおなじ魔法を再度放ち、はじき返されてきた火球を相殺しつつ驚きの声を漏らした。
「ふぅ……あの一撃で決める予定だったんだが。随分と変わられたようだな。聖女殿は」
「はい先生。あなたの弟子は成長しましたよ」
先生? リズが弟子だって?
どういうことだ?
リズはその綺麗な銀髪を揺らして、先生と呼ぶ魔法使いをじっと見つめた。
「はい、バートス。王国で獄炎のアルバートという二つ名を知らない魔法使いはいません」
最強……獄炎……。
なにそれ、とんでもないじいさまじゃないか。
「随分と懐かしい名前だな……もう昔の話じゃよ。リズ殿」
「王国魔法師団長のあなたが、なぜ私たちを狙うのですか?」
「……」
アルバートはリズの問いかけには答えず、手にもつ杖をこちらに向ける。
「―――火炎魔法!」
いきなり放たれる火球。
「くっ! ―――三連撃氷結槍魔法!」
リズの放った氷の槍は3本とも火球に命中して、双方の魔法は相殺された。
「おお、やるな聖女殿。わしの魔法を相殺するとは、以前より腕を上げたな」
「っ……! ただの初級魔法なのに、この威力ですか。とんでもない人ですね」
なんだか状況が呑み込めないうちに戦闘がはじまってしまった。
だが、俺はリズの従者だ。
王国最強の火魔法使いだろうが関係ない。
「―――リズ、俺たちも加勢するぞ」
だが、前に出ようとした俺にリズは制止の手をあげる。
「バートス、もう少しだけアルバートと話をさせてください」
リズが真剣な眼差しを俺に送って来た。
どうやらこのじいさんとは、ただの知り合いというわけではなさそうだ。
「わかった。リズのしたいようにしてくれ」
「ありがとう、バートス」
「だが俺が危ないと判断したら、その時は許可なく割って入るぞ」
「はい、お願いしますね」
俺たちのやり取りを見ていたアルバートが、俺に鋭い視線を向ける。
「バートス……そうか。彼がレッドドラゴンを跡形もなく燃やしたという、火魔法使いじゃな」
「そうです。バートスは手強いですよ」
「ああ……そのようだな。全力で戦わねばならんかもしれんな」
「なぜです? あなたがこのようなことをする理由が見当たりません。話し合いはできないのですか?」
リズのその綺麗な紫眼の奥には困惑と苛立ちがみえる。
アルバートはふぅ……と一息入れたかと思うと、再び杖をリズに向けた。
「残念ながらそれはできん!―――三重詠唱!
「「「――――――中級火炎魔法!」」」
なにあれ!
なんかアルバートの口が3つに増えた!?
「―――くっ! 3つ同時!! それにこれが中級魔法? 完全に上級魔法です!」
リズが聖杖を構えて防御態勢を取る。
『ひゃ~~ん、あんなの無理じゃ~~』
「ちょっ、エレナ落ち着きなさい!」
その場から逃げだそうと懸命にブルンブルン揺れる聖杖。
なにやってんだ、エレナのやつ……。
「―――聖極大氷結鏡魔法!!」
おお! これ、ニワトリ討伐の時に使ったやつだ。
リズのまわりに巨大な分厚い氷壁がズズズと現れる。
「む? なんと……独自魔法か……やるな!
――――――だが!!」
アルバートの放った3つの火球はリズの氷に激突して、その勢いを失わずに壁を削り取っていく。
「そんな……キングコカトリスの石化砲を跳ね返した壁が……」
猛烈な勢いで削り取られていくリズの氷壁。
これはピンチか? おっさんも参戦した方がいいのか?
カルラも固有能力を使用するために角と尻尾をつけた。
そこへやだやだ騒いでいた天使が、再び口を開いた。
『しょうがないのじゃ~~灰になりたくないからわれも力を貸すのじゃ~~』
「ちょっと、エレナ。暴れないでください!」
『んんんん~~~~』
リズの言葉にはお構いなしに、ブルンブルンと暴れ倒すエレナ。
―――聖杖が光をおびて輝き出した。
「―――え? これは?」
聖杖の先端にまるい光の輪が浮かび上がる。
これは……エレナの天使の輪か?
「す、凄いですエレナ。なんだか力がみなぎってきます!」
『どうじゃ~~われが本気をだせば~~こんなもんじゃい! エッヘン!』
どうやら聖杖エレナが本領を発揮したらしい。
まあ天使だし。単に食いしん坊な幼女ではないとうことか。
聖杖をブンブン振り回して自信に満ち溢れるリズ。
リズはその勢いのまま、壁を崩しつつ迫る火球に聖杖を思いっきり振りあげる。
『へ? ちょ、ちょっとまつのじゃ~~リズ! もっと聖女っぽい魔法とか……』
「さあ! 行きますよ~~エレナ~~
――――――えいっ!!」
スパコ―――ン!!
と子気味良い音を上げて、火球の1つを打ち返すリズ。
こりゃ凄いな。魔法なのか良く分からんが、思いっきり聖杖を振りぬいたぞ。
「凄いですよエレナ! さあ~~次々行きますよ~~ブンブン!!」
『ぶんぶんって……ま、まつのじゃリズ。ねぇ~~まってぇえええええたらぁああ!!』
「―――――えいっ! えいっ!」
スパコ―――ン!!
スパコ―――ン!!
あっと言う間に火球はすべて弾き飛ばされていった。
『使い方がわれの想像と違うのじゃ~~あついぃいいい!!』
エレナはリズの聖杖として大活躍だな。さすが天使だ。
まあ当の本人は悲鳴をあげているけどな。
「―――ぐっ! まさかわしの三重火球を……跳ね返すとは!?」
アルバートはおなじ魔法を再度放ち、はじき返されてきた火球を相殺しつつ驚きの声を漏らした。
「ふぅ……あの一撃で決める予定だったんだが。随分と変わられたようだな。聖女殿は」
「はい先生。あなたの弟子は成長しましたよ」
先生? リズが弟子だって?
どういうことだ?
リズはその綺麗な銀髪を揺らして、先生と呼ぶ魔法使いをじっと見つめた。

