「え……？」
　十二月半ばのことです。あるネットニュースの見出しが、わたしの目に止まりました。
『行方不明の少女、山中で遺体が見つかる』
　発見された少女は県内の高校二年生で、十月上旬に家を出てから行方が分からなくなっていたのですが、昨日死亡が確認され、遺体のDNA鑑定の結果、身元が判明したとのこと。
　その少女の写真を見て、わたしの背すじに悪寒がはしりました。
　彼女の髪型は茶色がかった肩までのセミロング、くっきりと大きなまなざし。
　似ている、わたしに。
　そして、あのひと――薫さんにも。
　
　奇妙なことはそれだけではありませんでした。
『二十代女性、海に転落か』
　県内の漁港で、転落した車が見つかったという事件でした。乗っていたのは二十代の女性。このひとも、数か月前に会社を休むという連絡があって以来、どこに行ったのか分からなくなっていたそうです。
　目立った外傷はなく、事故ではないかとも言われていましたが、ニュースで取り上げられていた彼女の写真が、どうにもわたしには気にかかりました。
　先日見つかった少女と同じく、茶髪のセミロングにくっきりとした目。
　これは偶然？　わたしの考えすぎなの？
　自分と似た顔の遺体が立て続けに見つかっているなんて……。
　どうして彼女たちは亡くなったの？　　
　事故にしては不自然だし、もし、殺されたとしたらいったい誰が、何のために――。
　ふっ、とわたしの頭にあのひとの言葉がよぎりました。
――ぜったいに彼の運命のひとにならないで。さもないと、あなたに大きな災いが降りかかる――
　薫さん……！
　まさか、これは彼女がしたことなの？
　彼女が片桐くんの「運命のひと」になりたいがために、他の女性たちを？
　なら、そのうち、わたしも!?
　言いようのない恐怖がわたしの全身を襲いました。
　そんなのいや、そんなの！
　片桐くん、助けて！