2025年10月29日
 ・はじめまして、こんばんは。ここに書き込むのははじめてです。私は誰か、と言われると、私にも誰なのかわかりません。カザミアヤコか、と訊かれたら、そうかもしれないし、ほとんどそうじゃないとも言えます。きっと、いろいろなものが集まってできたものなんだと思います。ほら、よく料理番組で、ドレッシングを作るシーンがあるでしょう。キッチンを模したテーブルの上に、醤油、マヨネーズ、オリーブオイル、いろんな調味料が入ったピンチボウルが用意されていて、それを手早くひとつのボウルに入れていく。かき混ぜてできあがったものには名前がつけられますが、私にはそれがありません。愛情とか、呪いとか、たくさんの想いがまぜこぜになってひとつにまとめられた。それが私たちです。ただひとつ言えることは、かつて女性であったということです。私たちに共通するのは、たくさんの女性であったこと、彼を救いたいと思っていたこと、救えなかったこと、それだけです。
 ・私たちは愛されていたと思います。たくさんの彼に愛されていたと思います。なのに、彼らを助けられなかったから、消されたのです。老人たちに殴られ、首を絞められ、水の中に突き落とされたのです。その瞬間の私たちは、どうして、苦しい、悔しい、その気持ちばかりでした。彼を救いたかった、産まれた子を育てたかった、その後悔を遺したままこの世から消えました。でも今考えると、この結末は当然とも思えるのです。私が彼を救えなかったから。彼の一族は年月が経つにつれ衰退していき、だからなのか、強い絆で結ばれています。一族を背負って立つ彼を、誰もが守ろうと必死になります。だから、私は殺されても仕方がなかったんです。今は、また次、が現れることを、祈っています。今度こそ、彼を守らなければなりません。だから、ここを見ているあなたに伝えたいことがあるのです。
 ・どうか、協力してくださいませんか。あなたと彼はつながっています。あなたは彼に尽くす義務があります。それは大昔から続く約束なんです。あなたは彼に娶られる。それは、とても自然なことです。どうか、受け入れてください。誰も邪魔させないでください。この運命を認めて、すべてを捧げてでください。
 ・わかったら、黙って嫁入りしろ