「ここが、理科準備室か。」
時刻は16:15。普段なら体育館で部活動の指導をしている時間帯だが、今日体育館に行くと誰もいなかった。おかしいと思い、渡り廊下を帰ってくると、ユウヤが居たので声をかけた。
「おい、部活どうした?」
「え? 今日からテスト休みっすけど…。」
(なに!?)
慌てて、でもそれを悟られずに、スマホで写真を戻ってみると10月の半ばに11月のスケジュールが顧問の先生から送られてきていた。体調不良になるかもとかでいつもより早くスケジュールをもらっていた。たしかに今日18日からテスト休みとなっている。
「だよな。誰か自主練してっかと思ったんだけど。」
固まる生徒たち。
「なーんてな! 赤点取るなよ。」
そう言って、サラリと、生徒たちをかわした。
「体調不良になるかも」の予言はあたり。ここ2週間ほど顧問の先生とは会えていない。まだ生徒には秘密だが、先月、10月に妊娠がわかったとのことだ。ってことは交わったのは9月になるか。新人戦の裏でそんなオアツイことになっていたとは。で、予定日が6月だから、高体連は観に来れれば良い方って感じか。おれの負担が…。ま、これ以外にやりがいのあることもないんだが。
しかも今日は職員会議らしい。仲のいい先生たちと話すわけにもいかず、予定があるわけでもない。こうして1人学校に居ることを楽しみたくなった。
(じゃあ、あそこに…。)
思い立ってのぞいてみたのがココ、理科準備室だった。
「失礼しまーす。」
誰も居ないのはわかっているが、一応の挨拶をして、スルッとスリッパを滑らせた。
(マジ汚ねぇ。うちの書斎みたい。)
我が家の書斎、つまり親父の部屋は、汚い。ゴミがホコリが、というのではなく、散らかっている。片付けができない親父は本の角を揃えることができず、立てることもできず、それでいて足の踏み場もないほど大量の本や紙や標本を所有している。
この部屋も大して変わらない。さすがに床は足の踏み場があるが、床に置かれた薬品ボトルのようなものは、やはりまっすぐは並んでおらず、机の上は、いつ雪崩が起きてもおかしくない紙の山が無数にある。
「ここが、理科準備室か。」
今年入ったユウヤが「休み時間は理科準備室で過ごしてる」と言うから、どんな場所だか一度見てみたかった。ココが居心地良いとは…少なくとも綺麗好きな自分には分からない感覚だ。
本棚に目をやると、大きさが揃っていなければ、上下が逆にしまわれている本もあるくらい乱雑な中に、2冊と1冊、端にきちっと揃えて並んでいるものがあった。
「日記が2冊と、アルバムか。」
時計を見るとまだ16:26。まだいつも学校に居る時間には程遠い。
「じゃあ『日記』から読んでみるか。」
2冊ある日記のうち、背表紙が平らで、「日記」と書いてある方を手に取った。
時刻は16:15。普段なら体育館で部活動の指導をしている時間帯だが、今日体育館に行くと誰もいなかった。おかしいと思い、渡り廊下を帰ってくると、ユウヤが居たので声をかけた。
「おい、部活どうした?」
「え? 今日からテスト休みっすけど…。」
(なに!?)
慌てて、でもそれを悟られずに、スマホで写真を戻ってみると10月の半ばに11月のスケジュールが顧問の先生から送られてきていた。体調不良になるかもとかでいつもより早くスケジュールをもらっていた。たしかに今日18日からテスト休みとなっている。
「だよな。誰か自主練してっかと思ったんだけど。」
固まる生徒たち。
「なーんてな! 赤点取るなよ。」
そう言って、サラリと、生徒たちをかわした。
「体調不良になるかも」の予言はあたり。ここ2週間ほど顧問の先生とは会えていない。まだ生徒には秘密だが、先月、10月に妊娠がわかったとのことだ。ってことは交わったのは9月になるか。新人戦の裏でそんなオアツイことになっていたとは。で、予定日が6月だから、高体連は観に来れれば良い方って感じか。おれの負担が…。ま、これ以外にやりがいのあることもないんだが。
しかも今日は職員会議らしい。仲のいい先生たちと話すわけにもいかず、予定があるわけでもない。こうして1人学校に居ることを楽しみたくなった。
(じゃあ、あそこに…。)
思い立ってのぞいてみたのがココ、理科準備室だった。
「失礼しまーす。」
誰も居ないのはわかっているが、一応の挨拶をして、スルッとスリッパを滑らせた。
(マジ汚ねぇ。うちの書斎みたい。)
我が家の書斎、つまり親父の部屋は、汚い。ゴミがホコリが、というのではなく、散らかっている。片付けができない親父は本の角を揃えることができず、立てることもできず、それでいて足の踏み場もないほど大量の本や紙や標本を所有している。
この部屋も大して変わらない。さすがに床は足の踏み場があるが、床に置かれた薬品ボトルのようなものは、やはりまっすぐは並んでおらず、机の上は、いつ雪崩が起きてもおかしくない紙の山が無数にある。
「ここが、理科準備室か。」
今年入ったユウヤが「休み時間は理科準備室で過ごしてる」と言うから、どんな場所だか一度見てみたかった。ココが居心地良いとは…少なくとも綺麗好きな自分には分からない感覚だ。
本棚に目をやると、大きさが揃っていなければ、上下が逆にしまわれている本もあるくらい乱雑な中に、2冊と1冊、端にきちっと揃えて並んでいるものがあった。
「日記が2冊と、アルバムか。」
時計を見るとまだ16:26。まだいつも学校に居る時間には程遠い。
「じゃあ『日記』から読んでみるか。」
2冊ある日記のうち、背表紙が平らで、「日記」と書いてある方を手に取った。



