翼が震え、霧を裂く。
赤い紋が帯の根元で脈打ち、空気が震える。

彼はかつて人だった。
誰かの願いだった。
誰かの祈りだった。

だが今、彼は神である。
祓われ、裂かれ、残された。

「……それでも、見ている。」

叫びは空に消え、霧に沈んだ。
だがその目は、まだ赤く燃えていた。