令和〇年〇月〇日

 B団地 管理人 様

 この度は突然のお便り、失礼いたします。
 私は市内で除霊や先祖供養を請け負っております △△と申します。町内の方を通じ、貴団地にて「303号室火災」の件を知りました。

 火災のあった部屋が「百目鬼」という家のものであることを耳にし、気がかりでなりません。
 百目鬼家そのものは、今では普通の家庭と変わらず、当人たちも特別なことは知らないと思われます。
 しかしながら、この家系は昔から「子を鬼として焼くことでノロイを生み出してきた家」と呼ばれてきました。

 「鬼子」という言葉を知っていますか?
 日本では昔から口減らしをするときに、赤子を鬼と呼んで情が湧かないようにしてきたのです。

 これは単なる言い伝えと片づけられてきましたが、今回の火災によって眠っていたものが呼び起こされ、団地全体に影響を及ぼしている可能性がございます。

 実際、こちらにも「子供の影を見た」「目が描かれた赤い紙が大量に捨てられている」といった話が入ってきております。
 これは偶然ではなく、いわゆる「目返しの呪い」が形を変えて広まっている兆候と考えます。

 管理人様におかれましては、
 ○赤い紙を不用意に触らないこと
 〇廊下や掲示板に貼られたものは、必ず手袋をして外すこと
 〇遊び半分で子どもたちが真似をしないよう、注意を呼びかけること

 以上を徹底されるのがよろしいかと存じます。

 なお、もしご不安が続く場合は、当方にて「お祓い一式」を承ることが可能です。
 簡易な清めであれば15万円より、ご連絡いただければすぐに参上いたします。

 大変不躾なお願いではございますが、早めのご対応をお勧めいたします。
 何かあってからでは遅いので――。

 △△祈祷所
 代表 △△ △△