そのとき、磁座電標通信機が反応した。少なく見積もっても10光年先の宇宙の彼方からだろう、謎の通信が届いた。
「こちら銀河艦隊、銀河艦隊。強大なエネルギー反応を感知した。地球人、貴様ら何をやった」
スピーカーから響く声は、やけに鼻にかかったイントネーションだった。
そんなこと訊かれても僕たちも何をやったのか分からないのですが。
しかし研究所長は胸を張り、誇らしげに答えた。所長は度胸だけはある。あとは特に取り柄は無いが。
「青春だ!」
……沈黙。
数秒後、通信の向こうでざわめきが起きた。
「セイシュン?新兵器か?惑星破壊砲か?」
「いや、O-βlμe輻輳排他装置の誤作動ではないか?」
「二度見しちゃうNαIの閾値大っきいね!」
「姉さん、おやつまだー?」
「待て、スフィミーン・プラスーン値は確かに膨大だ!」
その間も、制服姿の4人組は机の上で踊り続けていた。なんという運動量だ。
首を左右に揺らし、脚で机をドンドン叩き、意味不明な掛け声を上げる。なんなら一番背の高い女性が長髪の女性の髪の毛を鷲掴みにしたまま腹部に拳を突き当てている。
装置のメーターはさらに振り切れ、青、いやもはや青すぎて白ランプが点滅しっぱなしだ。
「やめろ!これ以上は危険だ!」
僕が叫んだ瞬間、天井がバリバリと裂け、なんと青空さえも轟音を立てた波動で切り裂かれた。空間を波動で切り裂いた?目の前で起きている異様な事象に僕の脳は理解が追い付かない。理解できたのは、安普請な天井だということだけ。
その裂け目から軽自動車並みの大きさの円盤が研究所の真上に現れた。巨大な円盤ではないのか。ここは巨大な円盤が登場していい場面だろう。僕は急に冷静になった。
あげく円盤はブライトシルバー×スカイブルーのツートーンだった。ダイハツMOVEか。
円盤は空中にとどまったまま銀色のハッチが開き、触手のようなアンテナを持つ宇宙人が姿を現す。
宇宙人が左から3本目の腕に「銀河艦隊」と書かれた深紅の腕章をしていた。なるほど、確かに銀河艦隊と名乗るだけのことはある。
「地球人、その力を我々に渡せ!」
所長は両手を広げ、満面の笑みで叫んだ。前歯に昼食の食いカスがついていようと構わず笑顔だった。
「渡すも何も、踊れば出るんだ!一緒に踊ろうじゃないか!」
踊れば出るといつ確信できたんですか、所長。
宇宙人は一瞬ためらったが、次の瞬間、4人組のリズムに引きずられるように触手を揺らし始めた。
「…ありえない…だが…楽しい…!」
宇宙人の目から、キラリと涙がこぼれた。泣くんだ。泣けるんだ。
「こちら銀河艦隊、銀河艦隊。強大なエネルギー反応を感知した。地球人、貴様ら何をやった」
スピーカーから響く声は、やけに鼻にかかったイントネーションだった。
そんなこと訊かれても僕たちも何をやったのか分からないのですが。
しかし研究所長は胸を張り、誇らしげに答えた。所長は度胸だけはある。あとは特に取り柄は無いが。
「青春だ!」
……沈黙。
数秒後、通信の向こうでざわめきが起きた。
「セイシュン?新兵器か?惑星破壊砲か?」
「いや、O-βlμe輻輳排他装置の誤作動ではないか?」
「二度見しちゃうNαIの閾値大っきいね!」
「姉さん、おやつまだー?」
「待て、スフィミーン・プラスーン値は確かに膨大だ!」
その間も、制服姿の4人組は机の上で踊り続けていた。なんという運動量だ。
首を左右に揺らし、脚で机をドンドン叩き、意味不明な掛け声を上げる。なんなら一番背の高い女性が長髪の女性の髪の毛を鷲掴みにしたまま腹部に拳を突き当てている。
装置のメーターはさらに振り切れ、青、いやもはや青すぎて白ランプが点滅しっぱなしだ。
「やめろ!これ以上は危険だ!」
僕が叫んだ瞬間、天井がバリバリと裂け、なんと青空さえも轟音を立てた波動で切り裂かれた。空間を波動で切り裂いた?目の前で起きている異様な事象に僕の脳は理解が追い付かない。理解できたのは、安普請な天井だということだけ。
その裂け目から軽自動車並みの大きさの円盤が研究所の真上に現れた。巨大な円盤ではないのか。ここは巨大な円盤が登場していい場面だろう。僕は急に冷静になった。
あげく円盤はブライトシルバー×スカイブルーのツートーンだった。ダイハツMOVEか。
円盤は空中にとどまったまま銀色のハッチが開き、触手のようなアンテナを持つ宇宙人が姿を現す。
宇宙人が左から3本目の腕に「銀河艦隊」と書かれた深紅の腕章をしていた。なるほど、確かに銀河艦隊と名乗るだけのことはある。
「地球人、その力を我々に渡せ!」
所長は両手を広げ、満面の笑みで叫んだ。前歯に昼食の食いカスがついていようと構わず笑顔だった。
「渡すも何も、踊れば出るんだ!一緒に踊ろうじゃないか!」
踊れば出るといつ確信できたんですか、所長。
宇宙人は一瞬ためらったが、次の瞬間、4人組のリズムに引きずられるように触手を揺らし始めた。
「…ありえない…だが…楽しい…!」
宇宙人の目から、キラリと涙がこぼれた。泣くんだ。泣けるんだ。


