「優弥さん、翆さん。着きましたよ」
「ここか…」
「…不穏な空気ね。まぁ、廃病院だから当たり前なのかもしれないけど」
「ここに入る許可はもらってきましたので、防犯センサーが反応することはありません」
「あれ…この病院、防犯センサーあるのか?」
「えぇ…防犯センサーあるので、不審者などが入った場合、センサーが反応して防犯会社が来ることになっています。」
「…おかしいわね。だとしたら、さっき、血桜とかいう組織の奴はどうやってこの病院に入って、動画を撮り、私たちに送ってきたのかしら」
「…確かに…!」
「防犯センサーに引っかからずに、病院内に忍び込んだ方法…か」
「…ここじゃない可能性はあるの?」
「いえ、先ほど送られてきた動画から、使われたパソコンがどこで使われたかを割り出し、この場所が出てきたので、ここで使われたことに間違いはありません」
「…ここの防犯センサーって防犯会社から許可もらわないと消えないんだよな…?」
「はい、そのようになっていると、防犯会社の方からお聞きしました。そう言えば、僕たちがここに来る前にも警察の方々から連絡来て、この廃病院に入りたいので防犯センサーを解除してほしいと連絡があったそうです」
「…!それだ…」
「血桜は、この廃病院に入るために、警察のフリをして防犯会社に連絡し、防犯センサーを解除してもらった」
「その後、この病院で動画を配信し、姿を消した…」
「でも、それだったら防犯設備ガバガバですよ、この病院」
「…確かに。その推理だと、防犯会社に警察として連絡すれば防犯センサーを解除できるってことになってしまうな…」
「…警察の電話を盗んだ説は?この間、ある警官の連絡電話が仕事中に盗まれたらしいけど。その電話の可能性があるよね」
「それ、結構やばいよな。まぁ、その盗まれた連絡電話の可能性も視野に入れとくべきか」
「その電話への通信は切ってるんでしょ?じゃないともし、その血桜って組織がその電話を持ってたとしたら、こっちの連絡内容が全部その組織に伝わってしまうもの…」
「えぇ、翆さんの言う通り、その電話への通信は切っているそうです。なのでこちらの連絡内容が血桜に伝わることはないはずです」
「…なるほどな…病院内には特に証拠らしきものも見当たらないし…」
俺達3人は病院内を見渡すが特にこれと言った証拠は見当たらない。病院は1階しか無い為、見渡すだけで証拠があるかないかとかもわかった。ここの廃病院は、使われなくなってから数十年が経過していた。そのため、物がほぼ無くなっており、落書きとおそらくその落書きを描くために使ったスプレー缶が散らかっていた。ここの院長だった犬川 清は、あまり人から好かれるタイプではなく、噂では裏の組織に入っている奴と言われていた。ここは、精神科というふうにしているが、実際は精神病患者を操り人形にするための施設だった。その事実がわかったのは、犬川精神病院が閉院してから2〜3年経った頃だった。マスコミなどが犬川院長を探し回ったが、結局犬川院長は、今でも行方不明のままだ。
「優弥、動画が送られてきたわ」
「…!」
ピコン
『どうもどうも、先程ぶりです。捜査の方は少しは進みましたか?まぁ、おそらく進んでいないだろうけど…とりあえず、この動画はいつも通り殺人予告をするための動画です。ターゲットは…言いません。先程ヒントを出したので。今日の夜、22時頃にまた動画送りますね』
ピコン
「…また、人を殺すのか…」
「…今日の夜、22時までに血桜が殺す人を特定しないと…」
「…とりあえず、車に戻りましょう。ここにいても特に何も無いので、本署に行きますよ」
「そう…だな」
それから数時間経過し、夜の22時になった。
血桜の今回のターゲットはわからないままだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピコン
『いやぁ、君たち警察は仕事してる?余裕で今回のターゲットを拉致できちゃったんだけど〜ほんとに罠じゃないかって思っちゃうよ。まぁ、とりあえず、今回のターゲットは殺させてもらうよ。誰だか知りたいよね?俺たちが今回殺すのは…犬川 清だよ~ん』
犬川…清…?
「数時間前に行った廃病院の元院長よね…」
「どういうことでしょうか…」
おそらく、その動画を見ていた3人とも同じことを思っていたと思う。どういうことだと。そもそも、犬川を見つけることがこいつらにできたのか、そしてなぜ犬川を殺すのか。謎だらけだった。動画の中では拉致された犬川が椅子に縛られて眠っていた。
『ヒントも出してたのにさ〜全然気づかないんだから。わざわざ犬川精神病院で動画を撮って送ったのもそういうことだよ』
…そういうことだったのか。わざわざ廃病院まで出向いた理由…次殺すターゲットを示唆していたのか…俺らはそれに気づかなかった。
優弥、これ。LIVEだから、多分、血桜と話せる」
翆がそう言って初めて気づいた。
画面の右上に小さくLIVEと書かれていた。
「…血桜、少し話をしたい。いいか…?」
『いいけど〜?何話すの〜?』
「血桜…それは組織の名前だな?」
『うん、そうだよ』
「お前の名はなんていうんだ?」
『これって本名言わないとだめ?嫌なんだけど』
ここで、相手の気分を悪くしてLIVEを切られたら情報が聞き出せなくなる…
「本名を教えてくれたら嬉しいんだけど…」
『え、やだ。俺の名前は今はヴァイパーだから』
「ヴァイパー?そうか、ヴァイパーっていう組織の中での名前ってことか?」
『まぁ、そんな感じ〜コードネームみたいなやつ』
「そうか。それと、なんで犬川を拉致して殺そうとしているんだ?」
『犬川は極悪人だ。こいつを殺すことで報われる人たちが何人もいる。その人たちを救うためにこいつを殺すんだよ』
「犬川が極悪人ってのは誰が決めたんだ?そもそも、犬川以上の極悪人も多くいるだろう?」
『あぁ、いるね。犬川以上の極悪人も。だけど、今回は犬川を殺すんだ。犬川が極悪人なのは、全て情報で回ってきたし、俺の家族も犬川に殺された』
「どういうことだ…?」
『まぁ、そこまで話す義理もないね。じゃ』
ピコン
「…切られたみたいね」
「とりあえず、あのLIVEで見た風景がある場所を探すか」
その時、場所を特定するためにパソコンでデータを探していた直生が声を発した。
「特定できました。そいつらがいるのは、風鳴山工場です…!」
第二章 廃病院 終わり
次回予告!
犬川 清を殺害すると言ったヴァイパー。彼が血桜の組織の一員であり、彼の家族が犬川に殺されていたことも判明した。そして、彼らがいるのは風鳴山工場。3人は犬川殺害計画を止めることはできるのか…!?第三章もお楽しみに!
「ここか…」
「…不穏な空気ね。まぁ、廃病院だから当たり前なのかもしれないけど」
「ここに入る許可はもらってきましたので、防犯センサーが反応することはありません」
「あれ…この病院、防犯センサーあるのか?」
「えぇ…防犯センサーあるので、不審者などが入った場合、センサーが反応して防犯会社が来ることになっています。」
「…おかしいわね。だとしたら、さっき、血桜とかいう組織の奴はどうやってこの病院に入って、動画を撮り、私たちに送ってきたのかしら」
「…確かに…!」
「防犯センサーに引っかからずに、病院内に忍び込んだ方法…か」
「…ここじゃない可能性はあるの?」
「いえ、先ほど送られてきた動画から、使われたパソコンがどこで使われたかを割り出し、この場所が出てきたので、ここで使われたことに間違いはありません」
「…ここの防犯センサーって防犯会社から許可もらわないと消えないんだよな…?」
「はい、そのようになっていると、防犯会社の方からお聞きしました。そう言えば、僕たちがここに来る前にも警察の方々から連絡来て、この廃病院に入りたいので防犯センサーを解除してほしいと連絡があったそうです」
「…!それだ…」
「血桜は、この廃病院に入るために、警察のフリをして防犯会社に連絡し、防犯センサーを解除してもらった」
「その後、この病院で動画を配信し、姿を消した…」
「でも、それだったら防犯設備ガバガバですよ、この病院」
「…確かに。その推理だと、防犯会社に警察として連絡すれば防犯センサーを解除できるってことになってしまうな…」
「…警察の電話を盗んだ説は?この間、ある警官の連絡電話が仕事中に盗まれたらしいけど。その電話の可能性があるよね」
「それ、結構やばいよな。まぁ、その盗まれた連絡電話の可能性も視野に入れとくべきか」
「その電話への通信は切ってるんでしょ?じゃないともし、その血桜って組織がその電話を持ってたとしたら、こっちの連絡内容が全部その組織に伝わってしまうもの…」
「えぇ、翆さんの言う通り、その電話への通信は切っているそうです。なのでこちらの連絡内容が血桜に伝わることはないはずです」
「…なるほどな…病院内には特に証拠らしきものも見当たらないし…」
俺達3人は病院内を見渡すが特にこれと言った証拠は見当たらない。病院は1階しか無い為、見渡すだけで証拠があるかないかとかもわかった。ここの廃病院は、使われなくなってから数十年が経過していた。そのため、物がほぼ無くなっており、落書きとおそらくその落書きを描くために使ったスプレー缶が散らかっていた。ここの院長だった犬川 清は、あまり人から好かれるタイプではなく、噂では裏の組織に入っている奴と言われていた。ここは、精神科というふうにしているが、実際は精神病患者を操り人形にするための施設だった。その事実がわかったのは、犬川精神病院が閉院してから2〜3年経った頃だった。マスコミなどが犬川院長を探し回ったが、結局犬川院長は、今でも行方不明のままだ。
「優弥、動画が送られてきたわ」
「…!」
ピコン
『どうもどうも、先程ぶりです。捜査の方は少しは進みましたか?まぁ、おそらく進んでいないだろうけど…とりあえず、この動画はいつも通り殺人予告をするための動画です。ターゲットは…言いません。先程ヒントを出したので。今日の夜、22時頃にまた動画送りますね』
ピコン
「…また、人を殺すのか…」
「…今日の夜、22時までに血桜が殺す人を特定しないと…」
「…とりあえず、車に戻りましょう。ここにいても特に何も無いので、本署に行きますよ」
「そう…だな」
それから数時間経過し、夜の22時になった。
血桜の今回のターゲットはわからないままだった。
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ピコン
『いやぁ、君たち警察は仕事してる?余裕で今回のターゲットを拉致できちゃったんだけど〜ほんとに罠じゃないかって思っちゃうよ。まぁ、とりあえず、今回のターゲットは殺させてもらうよ。誰だか知りたいよね?俺たちが今回殺すのは…犬川 清だよ~ん』
犬川…清…?
「数時間前に行った廃病院の元院長よね…」
「どういうことでしょうか…」
おそらく、その動画を見ていた3人とも同じことを思っていたと思う。どういうことだと。そもそも、犬川を見つけることがこいつらにできたのか、そしてなぜ犬川を殺すのか。謎だらけだった。動画の中では拉致された犬川が椅子に縛られて眠っていた。
『ヒントも出してたのにさ〜全然気づかないんだから。わざわざ犬川精神病院で動画を撮って送ったのもそういうことだよ』
…そういうことだったのか。わざわざ廃病院まで出向いた理由…次殺すターゲットを示唆していたのか…俺らはそれに気づかなかった。
優弥、これ。LIVEだから、多分、血桜と話せる」
翆がそう言って初めて気づいた。
画面の右上に小さくLIVEと書かれていた。
「…血桜、少し話をしたい。いいか…?」
『いいけど〜?何話すの〜?』
「血桜…それは組織の名前だな?」
『うん、そうだよ』
「お前の名はなんていうんだ?」
『これって本名言わないとだめ?嫌なんだけど』
ここで、相手の気分を悪くしてLIVEを切られたら情報が聞き出せなくなる…
「本名を教えてくれたら嬉しいんだけど…」
『え、やだ。俺の名前は今はヴァイパーだから』
「ヴァイパー?そうか、ヴァイパーっていう組織の中での名前ってことか?」
『まぁ、そんな感じ〜コードネームみたいなやつ』
「そうか。それと、なんで犬川を拉致して殺そうとしているんだ?」
『犬川は極悪人だ。こいつを殺すことで報われる人たちが何人もいる。その人たちを救うためにこいつを殺すんだよ』
「犬川が極悪人ってのは誰が決めたんだ?そもそも、犬川以上の極悪人も多くいるだろう?」
『あぁ、いるね。犬川以上の極悪人も。だけど、今回は犬川を殺すんだ。犬川が極悪人なのは、全て情報で回ってきたし、俺の家族も犬川に殺された』
「どういうことだ…?」
『まぁ、そこまで話す義理もないね。じゃ』
ピコン
「…切られたみたいね」
「とりあえず、あのLIVEで見た風景がある場所を探すか」
その時、場所を特定するためにパソコンでデータを探していた直生が声を発した。
「特定できました。そいつらがいるのは、風鳴山工場です…!」
第二章 廃病院 終わり
次回予告!
犬川 清を殺害すると言ったヴァイパー。彼が血桜の組織の一員であり、彼の家族が犬川に殺されていたことも判明した。そして、彼らがいるのは風鳴山工場。3人は犬川殺害計画を止めることはできるのか…!?第三章もお楽しみに!
