「また犠牲者が出たのか…」
俺は、この殺人事件を捜査する刑事、山中 優弥だ。もうこの一連の殺人事件の被害者は9人目だ。早く犯人を捕まえないと、被害者がどれだけ増えるか…民衆の警察への信頼もガタ落ちするだろう。何としてでも犯人を捕まえなければ。
「はぁ…」
「お疲れのようで」
「翆…」
隣りにいるのは、同僚の翆だ。こいつも、俺と一緒でこの一連の殺人事件の捜査をしている。
「…この一連の事件の犯人、どんな奴なのか気になるわ」 
「そもそも、1人で9人を殺せるか?って感じなんだよなぁ…」
「それはそうね。複数犯ってのも頭に入れて捜査するべきだと思うわ」
「そうだよな…」
ピロリン‥ピロリン
「なんか、通知が来たわね」
「まさか…」
ガタッ
ピコンッ
『警察の方々。毎日お疲れ様です。まぁ、私たちのせいだと思いますが。』
「私たちのせい…?」
「複数犯みたいね…」
『未だに、私たちを捕まえることができなさそうですので、ヒントをと思いまして、動画を警視庁にお送りしました。感謝してください。』
「だったら事件起こさないほうが感謝するよ…」
「それはそうよ」
『ヒントは、私たちは組織で殺人事件を起こしてます。組織名は、血桜。わかりましたね?では、捜査頑張ってください』
ピコンッ
「血桜…」
「まるで、日本全体を血塗れにしそうな組織名ね」
「どういうことだ?」
「日本の代表的な花は、桜。これは誰でも知ってるわ。それに血をつけてるから、日本を血塗れにしそうな組織名だと思った」
「…なるほどな」
組織の名前。そして、複数人ということが分かったが、犯人突き止めるのはまだ難しい。次の被害者が出る前に突き止めないと…でも、その為にはどうすれば…
「翆、血桜について調べてくれ」
「わかった」
ポチポチポチ
「相変わらず、刑事は大変ですね」
「直生…お前も刑事だろ」
俺の部下の直生は、他人事のようなことを言っている。
「とりあえず、直生は、さっきの動画の発信源を調べてくれ」
「わかりましたよ…あぁ、休暇がほしい…」
直生は、長期休暇入るタイミングでこの一連の殺人事件が発生しだしたから、結局、長期休暇に入れず、ずっと仕事している。少しばかり可哀想とは思うが、こればっかりは仕方ない。
「優弥。血桜について調べたわ。不良や暴走族の名前ではないみたい」
「つまり、前科は?」
「組織としては前科無し。組織の奴らの前科ありか無しは分からないわ」
「そうか…前科あれば、もっとなんかわかると思ったんだが」
「ちなみに、その血桜っていう組織がどれぐらいの規模の組織なのかも不明。組織の殆どが不明だわ」
「一番ダルいやつ…」
「唯一わかっているのが、組織名と前科無しぐらいね」
「…それから全部をあぶり出すのは難しいな」
「優弥さん、発信源調べました」
「どこだ?」
「ここから車で約45分のところにある廃病院、犬川精神病院です」
「遠いな…今から向かっても、あいつらも移動する可能性が高いから捕まえられない…」
「なんで廃病院からここに動画を送信したのかしら。廃病院…さらには精神病院で動画を撮る意味はあったのかしら」
「それじゃあ、翆さんは撮るとしたらどこで撮るんですか?」 
「私なら、どこかの裏路地とかにするわ。わざわざ、精神病院で動画を撮ったりしない」
「…精神病院か…なんで精神病院なんだ…?」
「もしかしたら…その組織のメンバーは精神的な病を患っている可能性も…」
「直生…そしたら、その組織のメンバーの共通点も出てくるが…」
「とりあえず、そこの廃病院に行ってみるわよ。なんか痕跡があるかもしれない」
「そうだな」
「僕も行きます」
「…あんなに言ってたのに、仕事熱心だな」
「!うるさいです!優弥さん!」
「2人は相変わらずね…」
             第一章 血桜 終わり
次回予告!
突如、送られてきた"血桜"からのヒントの動画を下に廃病院に向かった3人。そこで、さらなる殺人予告LIVEが始められる。一体、次は誰が殺されるのか、そして血桜の目的とは?さらなる謎が深まる第二章!お楽しみに!