『応募が完了しました』
この表示を見ると一息つき、ソファーの背もたれで体を支えた。あとはおそらく面接の案内である自動返信が来るのを待つだけだ。
ここの最寄り駅から二駅離れたところにあるそば屋『手打そば 素兎』にアルバイトで応募をした。そこのそば屋で食べたことは一度か二度くらいであまり知らないが、応募の方法が電話番号と名前のみだったので楽だったという理由だ。あとは、レビューを覗いてみると批評もそこそこいいから悪いことにはならないと判断したためだ。
家の白い天井を見つめて体感10秒も経たないうちにさっき打ち込んだ電話番号からショートメールが来た。アカウント名は当然『手打そば 素兎』だ。
「ん?ちょっと待て。早すぎないか?」
俺は座っていたソファーから立ち上がり、スマホの画面を顔に近づけた。ただ、驚愕したところは内容の部分でもあった。なんとメールの内容は面接の案内ではなく合否の案内だったのだ。
「しかも合格しましたって……まだ何もしてないけどな」
あまりにも雑であることが伝わってくるが故に闇バイトの可能性もある。可能性というか本当に怪しい。しかし一回目に限って流石に当たらないだろうから気にしないでおく。『いつでも来て良い』と書いてあるので明日行くことにした。
翌朝に、昨夜応募した『手打そば 素兎』に来た。外観は駅に付属しているため普通のチェーン店と何ら変わりなかった。ただ、店内でごつごつしている薄橙の砂壁や光沢のついたテーブルを見ていると、一気に和風の雰囲気が出ている装飾となっていた。
辺りを見回していると、奥から一人の店員らしき人が出てきた。紺色の三角布を頭に被っており、半袖の白い制服に三角布と同じ紺色のエプロンを着ている。
「こんにちは。アルバイト応募の方ですか?」
「はい。海野凌久という名前で応募しています」
名前を名乗ると、店員はうなづいた。
「海野さんですね!どうぞこちらへ」
そう言ってキッチンの奥にあるスタッフルームまで案内された。いかにもバックヤードらしい場所で、デスクトップパソコンが置いてある机の右端に積まれた資料が置かれている。
「改めましてこんにちは!私は店長のサポーター兼副店長の晴心陽と申します!今日からよろしくお願いいたします!」
晴心陽……晴って苗字だよな。一生に一度聞くか聞かないか、そのくらい珍しそうである。
「よろしくお願いします。しかし……これは就職したことになるのでしょうか?」
「もちろんですよ!『合格しました』って自動送信したはずですけど、送れてないですか?」
「え?自動送信?」
安否のメールを自動送信するってマジか。何も聞かなくていいから応募フォームが短くて済むわけだ。どうやら早急に人が欲しいらしい。
「まぁ、送られましたけど」
「であれば過去のことを振り返る必要はない。前を向いて進みなさい」
誰だ?今のは目の前にいる晴の声じゃない。俺が辺りを見回してもバックヤードの景色が広がっているだけだった。
「ここだよ。下見て下!」
俺は言われた通り下を見ると、驚愕のあまり刹那に一歩後ろへ下がった。二本の足で踏ん張って立っている白色の毛玉がこちらを向いている。
「今の声は、あなたですか?」俺は衝撃で下げた後ろ足をそのままにして問いた。
「その通り!僕はここ『手打そば 素兎』の店長である晴篠太郎と申します。まぁ、見ての通りうさぎだけどね。どうぞよろしくお願いいたします!」
うさぎ……なんでうさぎがこんなところにいるんだ。だから此処の名前が『素兎』なのか。ていうかさっきから情報量が多すぎる。これが読めるものならもう一回読み直したい。
「ところでさ!僕の調整完璧じゃない!?ちょうど一人だけ欲しかったんだよね!」
「はい!『簡単すぎて怪しい応募フォームは一人しか来ないんじゃないか』作戦!算段通り、一名しか来ませんでしたね!」
は……はめられたらしい。変なバイトに応募してしまった。俺は怪しい応募に手をつけてはいけないと身に染みてわかった。
この表示を見ると一息つき、ソファーの背もたれで体を支えた。あとはおそらく面接の案内である自動返信が来るのを待つだけだ。
ここの最寄り駅から二駅離れたところにあるそば屋『手打そば 素兎』にアルバイトで応募をした。そこのそば屋で食べたことは一度か二度くらいであまり知らないが、応募の方法が電話番号と名前のみだったので楽だったという理由だ。あとは、レビューを覗いてみると批評もそこそこいいから悪いことにはならないと判断したためだ。
家の白い天井を見つめて体感10秒も経たないうちにさっき打ち込んだ電話番号からショートメールが来た。アカウント名は当然『手打そば 素兎』だ。
「ん?ちょっと待て。早すぎないか?」
俺は座っていたソファーから立ち上がり、スマホの画面を顔に近づけた。ただ、驚愕したところは内容の部分でもあった。なんとメールの内容は面接の案内ではなく合否の案内だったのだ。
「しかも合格しましたって……まだ何もしてないけどな」
あまりにも雑であることが伝わってくるが故に闇バイトの可能性もある。可能性というか本当に怪しい。しかし一回目に限って流石に当たらないだろうから気にしないでおく。『いつでも来て良い』と書いてあるので明日行くことにした。
翌朝に、昨夜応募した『手打そば 素兎』に来た。外観は駅に付属しているため普通のチェーン店と何ら変わりなかった。ただ、店内でごつごつしている薄橙の砂壁や光沢のついたテーブルを見ていると、一気に和風の雰囲気が出ている装飾となっていた。
辺りを見回していると、奥から一人の店員らしき人が出てきた。紺色の三角布を頭に被っており、半袖の白い制服に三角布と同じ紺色のエプロンを着ている。
「こんにちは。アルバイト応募の方ですか?」
「はい。海野凌久という名前で応募しています」
名前を名乗ると、店員はうなづいた。
「海野さんですね!どうぞこちらへ」
そう言ってキッチンの奥にあるスタッフルームまで案内された。いかにもバックヤードらしい場所で、デスクトップパソコンが置いてある机の右端に積まれた資料が置かれている。
「改めましてこんにちは!私は店長のサポーター兼副店長の晴心陽と申します!今日からよろしくお願いいたします!」
晴心陽……晴って苗字だよな。一生に一度聞くか聞かないか、そのくらい珍しそうである。
「よろしくお願いします。しかし……これは就職したことになるのでしょうか?」
「もちろんですよ!『合格しました』って自動送信したはずですけど、送れてないですか?」
「え?自動送信?」
安否のメールを自動送信するってマジか。何も聞かなくていいから応募フォームが短くて済むわけだ。どうやら早急に人が欲しいらしい。
「まぁ、送られましたけど」
「であれば過去のことを振り返る必要はない。前を向いて進みなさい」
誰だ?今のは目の前にいる晴の声じゃない。俺が辺りを見回してもバックヤードの景色が広がっているだけだった。
「ここだよ。下見て下!」
俺は言われた通り下を見ると、驚愕のあまり刹那に一歩後ろへ下がった。二本の足で踏ん張って立っている白色の毛玉がこちらを向いている。
「今の声は、あなたですか?」俺は衝撃で下げた後ろ足をそのままにして問いた。
「その通り!僕はここ『手打そば 素兎』の店長である晴篠太郎と申します。まぁ、見ての通りうさぎだけどね。どうぞよろしくお願いいたします!」
うさぎ……なんでうさぎがこんなところにいるんだ。だから此処の名前が『素兎』なのか。ていうかさっきから情報量が多すぎる。これが読めるものならもう一回読み直したい。
「ところでさ!僕の調整完璧じゃない!?ちょうど一人だけ欲しかったんだよね!」
「はい!『簡単すぎて怪しい応募フォームは一人しか来ないんじゃないか』作戦!算段通り、一名しか来ませんでしたね!」
は……はめられたらしい。変なバイトに応募してしまった。俺は怪しい応募に手をつけてはいけないと身に染みてわかった。
