「でも、あ、俺はそういう人にはなれないんだ。って思い知らされる瞬間っていうのがあって。華とか、センスとか、努力ではどうにでもならない何かが、俺と全然違うわ、って思って。でも、どうにかこの世界で生き残りたくて、そのためにいろんなものを手放したし、身に着けた。」
佑月くんの話に聞き入る。
「そうしてたどり着いたのが今の俺!」
佑月くんが顔を上げる。
うん、知ってる。断片的にだけど。雑誌のインタビューを読んだり、ドキュメンタリーで話してるのを聞いたことがある。私は、それがかっこいいなと思った。自分の理想とする形ではなかったけど、挫折してもあきらめず、適応していった佑月くん。その過程が、めちゃくちゃかっこいい。
「もし佑月くんが挫折知らずでそのまま”王道のアイドル”になっていたら、私は、ここまで佑月くんのことを好きになっていたか分かりません。……って、なんか重いですよね、すみません。」本人にこんなことを言うなんて、キモいか。
「うん、重い。」
佑月くんがあはは、って笑う。
「けど、めっちゃくちゃ嬉しい。」佑月くんが私の顔を見る。「それってもう、俺の全部が好きってことでしょ?」
