この立派なオフィスには、シャワーや洗面台も完備されていて、うちより遥かに綺麗だった。東京の一等地に立つこのオフィス。金はあるところにはあるんだなぁ……と、コンビニで調達したパックをしながら思う。綺麗に磨かれた鏡に映る私。佑月くんから借りたパーカーを着た私。なんで私、こんなところにいるんだろう。普通に生きていれば、絶対に見ることのなかった世界。私と、佑月くん。交わるはずのなかった2つの世界。
私より後にシャワーを浴びた佑月くんが、頭を拭きながら洗面所に来る。
「うわっ」
咄嗟に顔を隠す。よりによってパック中という最も可笑しい顔面を佑月くんに見られてたまるものか。
「ごめん。見ちゃダメだった?笑」
うふふ、って佑月くんが笑う。
「そのパーカー似合うね。これ、女の子が着たら可愛いと思ってたんだ〜。」
佑月くんが歯ブラシに歯磨き粉をつける。
「あ。その為に買ったんじゃないよ。」ふふ、って笑う。「失言、失言。」歯ブラシを咥えながら洗面所を出て行った。
