町の小さな診療所。
平日の昼間、近所に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんがちらほらいるくらいの、小さな診療所。
みんなぼーっとしたり、テレビを見たりしている。
亮ちゃんは「俺は車で待ってるわ〜」って言って車にいる。
受付で保険証を出そうと財布を取り出すと、W/Uの会員証が目に入った。
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「うん。インフルだわね。」
診察室。
ほらここ、線出てるでしょ。って、おじいちゃん先生が抗体検査の結果を前に置く。
「インフル…?5月なのに…?」
佑月くんの上着を羽織りながら、ブルブル震えている私に、看護師さんがブランケットを膝にかけてくれた。
「うん。抗生剤と解熱剤だしとくからね、あと今日から5日間は自宅から出ないようにね。」
それから先生が佑月くんの方を見て、「彼氏も一応検査する?」って聞く。
か……っ!!!
「か、彼氏じゃないです!」
私が言うと、先生が、あぁそうなの、って言って、まぁどうでもいいか、って顔をする。
「君も検査する?まぁ症状ないなら反応出ないかもしれないけど」
「あ〜、俺はいいで…」
めんどくさそうに答える佑月くんの言葉を遮る。
「します。」
「へ」
佑月くんが私を見る。
「わ、かりました…。」佑月くんが、おねがいします。って、先生にぺこりとお辞儀する。
