推しが隣に引っ越してきまして

あの時何度も想像した、大きな会場と歓声とメンバーの表情。
そこに俺はもういない。
俺は、もうこの人たちとステージには立てない。


涙がボロボロ溢れる。


「俺はもう踊れない」出た声は、震えた。「俺もみんなと一緒にデビューしたかった。もっと一緒いたかった。」顔を手で覆う。声を上げて泣いた。


「もう踊れないってどういうこと……?」亮くんが言う。
「医者に言われました。元のパフォーマンスをするのは難しい。できたとしても、また再発するリスクが高い。そしたら次はもう、歩くのがやっとになるって……。俺は、右足に、爆弾を抱えてしまった。」


「それ、ひとりで聞いたのか。」佑月くんが言う。
「え?」
佑月くんの顔を見る。佑月くんも、まっすぐ俺を見ていた。
俺が頷くと、佑月くんは、俺の頭に手を乗せた。
「心細かったね。」
「はい。」
俺はまた頷く。ボロボロ涙が溢れた。