「俺、この前、社長のところに行ってきたんです。」
「え、なんで。」亮さんが俺を見る。
「佑月さんが映画降ろされたの納得出来なくて……。」
「へえ。」亮さんが目を丸くする。「太一も結構アツいとこあるんやなあ。」
「昔、佑月さんがしてくれたから……。」
亮さんが、ん?って顔をしてから、「ああ。」って思い当たったような顔をする。
「でも、全然ダメでした。どうにもならなかった……。」
亮さんが目を伏せる。
「『別に最初からお前じゃなくてもよかった』って言われちゃいました。」
「うわあ。」亮さんが軽く引いている。「そんな露骨に言うんや。」
「余計に、佑月さんを傷つけることになってしまった。」
「そんな肩落とさんでもええよ。」
「どうして俺は、いつも空回りしちゃうのかな。」
亮さんが俺を見つめる。ほっぺをムニってつまむ。「怒ったり落ち込んだり、いつにもまして忙しい眞鍋サン。君のそういう真っ直ぐなところ、俺は好きよ。」