推しが隣に引っ越してきまして

話しているのは事務所の後輩、黒田と和泉だった。
黒田たちは、俺と亮さんがいることには気づいていない。


「佑月くんもドンマイだよねえ。せっかくの主演流れちゃうなんてさあ。」
「あんな写真撮られたんだから自業自得だろ。」
「たしかに」黒田がははって可笑しそうに笑う。
「お前、まじでラッキーじゃん。」和泉も笑う。
「まあ、日頃の行い?」
「何言ってんだよ。」和泉がケラケラ笑う。


なんだとっ。お前らは、今まで佑月さんに散々可愛がられただろう。それなのに、なんでそんな風に笑ってんだ。今まで佑月さんにしてもらったこと、その恩を忘れたのか。
立ち上がりそうになったところで、亮さんが俺の肩を掴む。「まあまあ、落ち着いて。」亮さんが落ち着いて言う。
なんであなたは、そんなに落ち着いていられるんですか。


「あいつらが言うてること正しいで。」亮さんが、ストローでズーってジュースを飲む。「この世界は、椅子の取り合い。虎視眈眈と椅子が空くのを待って、空いたらすぐに座らないと誰かに奪われる。そういうもんやろ。」