推しが隣に引っ越してきまして

◇◇◇




巧と窓の外を眺める。


「昔、亮さんが俺に、『俺らははぐれ者なんや』って言ったことあったじゃないですか。」巧が言う。
「やば、俺そんな事言うた?」
「俺が入ったばっかの時。研修生が、選抜組と、そうじゃない人に分かれていて。」
「あ〜言ったかもしらんわ。うん言うたな。」
「俺、佑月さんと亮さんのことまじで格好良いと思ってずっと見てました。2人だけじゃなくて、姫希も、太一くんも大樹くんも。自分の中に芯があって、ブレない人たち。昔も今も、みんなはずっと僕の憧れですよ。」
「俺、巧が佑月と一緒じゃないとやらないって言った時、ほんまに嬉しかったなぁ。」
「佑月さんを差し置いて俺だけデビューなんて、したくなかった。」それに、と巧が付け加える。「この2人は絶対に引き離しちゃいけないと思った。」
「あかん。」込み上げてくるものをぐっと堪える。「あかん。泣きそうや。」
「えっ。」巧が驚いて俺を見る。
「なんで!?」
「巧ありがとう。」
「泣いてる!?」
「巧が、俺と佑月を繋いでくれた。お前がおらんかったら今頃、どうなっていたことか。」
「なんも変わってないっすよ。佑月さんと亮さんは俺が居なくてもきっと、一緒にステージに立ってましたよ。」
「どうやろ。」
俺は、あの時一瞬だけど、佑月を置いて自分だけデビューしようとした。お前が、運命を変えてくれたんだ。あの日、彗星の如く俺らの前に現れたお前が、俺と佑月の運命を変えてくれたんだよ。本当に感謝してる。