佑月side


自分の家。


「やっぱり、価値観が違う。
仕事の話もできないし、金銭感覚だって違うし、一緒にいても、なんか物足りない。」


いや、物足りないだとちょっと駄目だな。なるべく、凛を否定するようなことは言いたくない。なんて言ったらいいだろうか。俺は、別れ方を考えていた。


仕事の話もできないし、金銭感覚だって違うし……。
そんなことは本当はどうでもいい。仕事の話が通じなくたって、一生懸命理解しようとしながら聞く凛は可愛かった。金銭感覚だって、どうだっていい。
あーあ、やんなっちゃうなあ。ベッドに身を放り投げて天井を見上げる。
別れる理由を探せば探すほど、別れたくない理由ばかりが思いつく。


前は心地よかったはずのキングサイズのベッドの広さが、なんだか今は虚しい。2人で身を縮こまらせながら寝るベッドが恋しい。


「参ったなぁ……。」