「佑月くんが引っ越してきたの、ちょうど1年前くらいだよね。」
凛が俺に抱きしめられながら言う。
「そうだっけ。」ふあーってあくびが出る。「あぁ、そうだ、ドラマの撮影始まる時だから。」
思い出すと笑ってしまう。
「びっくりしたなぁ、あの時は。あ、いやびっくりしたのは凛の方か」
「そうだよ、ドア開けたら酔っぱらった佑月くんがいてさぁ」
「目まん丸にしてたもん」
「覚えてるの?」
「覚えてるよ」
「隣がファンだって知ったとき、面倒くせぇ〜って思った?」
腕の中から凛が俺を見上げる。
「思ってないよ」
「眞鍋は頭抱えてたよ」
「えそうなの?」
「私事務所に呼び出されてさぁ」
「呼び出し!?何それ知らない」
「知らないの?誰にも言わないですよね?って釘刺された」
凛をぎゅって抱きしめる。
