「今日は来ていただき、ありがとうございました。」
 会場に広がるペンライトの海。ステージの華やかな装飾、この光景を彩るたくさんのライト……。私の目の前に広がるあまりにも綺麗な光景。
 ライブ終盤、メンバー一人一人からの挨拶。佑月くんがぺこりとお辞儀する。
「俺、俺が人生で出会った人には全員幸せになってほしいと思っているんです。」
 青いペンライトで染まった会場。青の海。その点がまるで、水面のようにゆらゆら揺れる。なんて綺麗な光景なんだろう…ってぼんやり見つめる。
「もしかしたら、今ここにいる人で、今すごいつらい状況にいる人もいるかもしれない。だけどね、俺は、人生は必ず幸せな方向に向かっていくんだって信じてる。そして、俺がその手助けができればいいなと思ってる。だから今日俺はこの会場に来てくれたあなたのことを全力で幸せにするつもりで、ここに立っています。俺は少しでもあなたのこと幸せにできましたか?」
 会場から歓声があがる。
 ずるい。そんな聞き方、ずるすぎる。
 さっきの光景がフラッシュバックする。
 もうすっごい幸せだったよ…!ペンライトを握りしめる。
 たとえ、この声が届かなくても。
「ありがとう。」
 佑月くんが、イヤモニを外して会場の声援を聞く。うんうんって頷いて、ニコって微笑む。
「みーんな幸せになあれッ!!!」
 佑月くんが、おっきく投げキッスをする。会場からキャーって声が上がる。
 たとえ、佑月くんの目に私が映るのが一瞬だとしても。佑月くん、あなたはやっぱり永遠に私の最高の推しです。