司会者が、ワタワタしてる2人を見て笑う。
『もしかしたら今テレビをご覧になってる方の中に、これ私が書いたやつかも!?って喜んでる方いらっしゃるかもしれませんね。』
 佑月くんがカメラに向かって手を振る。
『見てる〜?』
 やば。これって私に聞いてるんですか?
 画面越しで手を振られてるだけなのに、顔が熱くなる。焼きうどんの湯気で眼鏡が曇った。顔からも湯気が出そうだ。
『わぁっ、きっとファンの方も嬉しいでしょうね。ファンの方々との関係性も垣間見れるとても素敵なエピソードありがとうございました。続きましては——。」
“ファンの子の言葉が御守り、ってめっちゃ良い”
“見てた人の中で、これ私が書いたやつ!!ってなってた人がいるってこと!??めっちゃ羨ましい〜〜”
“ファンレターってちゃんと読んでくれてるんだなぁ、久しぶりに書こうかな〜”
 SNSの書き込みを読む。
 こんなことがあっていいのか。呆然とスマホを眺める。私は、自分の身に起こったことが信じられず、他人事のように感じられた。