「え〜。」亮が眞鍋を見て少し引いている。


「だから、もうどうしたらいいのかわからない。」眞鍋が力無く椅子にもたれる。
「なんやそれ。」と、亮。


「だったら隠し通すしかないなぁ。」いつの間にか、入り口のところに大樹が立っていた。


大樹が犬を愛でるみたいに眞鍋をよしよーしって撫でる。「眞鍋もひとりで色々悩んでたんだよね。」


大樹が俺を見る。
「何が何でも隠し通す、嘘を貫き通す、その罪を凛ちゃんにも背負わせる、それでも一緒にいたいというのなら、そうすればいいんじゃない。」その口調は落ち着いているというより、やや冷徹に聞こえた。それから、「ねっ。」って眞鍋の頭にポンって触れた。その表情は、いつもの優しい大樹だった。




ドアがガチャ、って開いて、目を擦りながら姫希が入ってきた。部屋のただならぬ空気を察して目をぱちくりする。「えっ何。どうしたの?」