推しが隣に引っ越してきまして



事務所。


部屋には先に亮がいた。


「佑月さんおはよう。」ニヤニヤする亮。イライラしてる様子の眞鍋を見て、全てを察したようだった。
そっとその場を離れようとする亮のパーカーのフードを眞鍋が掴む。ぐへ。亮の口から声が漏れた。
「その様子だと、亮さんも知ってるみたいですね?」
「いや……?」亮がとぼけるふりをする。


事務所のでかいテーブルに座らされる亮と俺。


「俺だって、こんなことで佑月さんを詰めたくない……。」眞鍋が頭を抱える。


「じゃ、全部見なかったことにしてもらって……。」俺が立ち上がろうとすると、「ふざけてる場合ですか!」と眞鍋が机に拳を叩きつけた。机の上に置いてあったコンビニのコーヒーカップがカタッと音を立てる。
亮が「おっと。」と体をのけ反らせる。