推しが隣に引っ越してきまして



佑月side


夜ごはんを一緒に食べる。


「佑月くん、見つけてくれなかったでしょ。」
「ん?」
膨れっ面でご飯をもぐもぐする凛。
「私が行く日、忘れないって約束したのに、忘れちゃったの?」
凛が俺を見る。
「ぐ……。」
可愛い。
「覚えてたよ。9月13日。」
「じゃあなんで。佑月くん、私の前何回も通るタイミングあったのに。」
「えっと……。」
「いたの分かった?」
「……分かんなかった。」
「始まったら、私のことなんて忘れちゃった?」
忘れた。完全に。
なんて言ったらいいのかわからず言葉に詰まる。
「忘れてないよ。」
「嘘。」
見抜かれた。
「ごめんなさい。」頭を下げる。
「衣装着たら私のこと忘れちゃうんだ。」
凛が責めるような視線で俺を見る。
「はい。」
凛がにこって笑う。
「好き。」
俺はごはんの塊をゴクって飲み込む。


凛は満足気な顔してご飯を食べている。
好き……?急になんで?さっきまで膨れてたのに。


わからん。